2013 Fiscal Year Research-status Report
分布北限域の絞め殺しイチジク集団は送粉共生を維持しているか
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24658142
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
大谷 達也 独立行政法人森林総合研究所, 四国支所, 主任研究員 (80353613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金谷 整一 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所, 主任研究員 (90353648)
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Keywords | 周年結実 / 発芽 / 遺伝構造 / 分布辺縁部 |
Research Abstract |
室戸・足摺の両地域において、それぞれおよそ80個体のアコウを対象にした結実・展葉スケジュールのモニタリングを継続した。これまでに3週間ごとの観察を2年弱にわたって継続し、それぞれ32回の観察をおこなうことができた。平均20.6±3.0日間隔で観察をおこなったことになる。いまのところ両地域ともにいずれの時期においても結実個体が認められ、果嚢数が0になることはなかった。また正常な発芽能力をもった種子がいずれかの季節には生産されており、それぞれの地域内でコバチとの送粉共生は維持されていると考えられた。しかしながら、室戸地域では冬期に結実する個体が足摺地域に比べて少なく、コバチの個体群を維持する上では制限要因になり得ることが示唆された。 室戸・足摺地域を含め国内のアコウ生育地から広くサンプルを収集した17集団について、各集団の遺伝的特徴を16座のマイクロサテライトを使って解析した。足摺集団では遺伝的多様性が九州地域の集団と同程度であったが、室戸集団ではそれよりも低かった。主座標分析の結果、室戸および足摺集団は九州・琉球地域の多くの集団と同様の特徴をもっていると示唆され、室戸・足摺集団は物理的な位置関係と同じく遺伝的にも九州・琉球地域の辺縁部に位置すると考えられた。さらにSTRUCTURE解析の結果から、足摺集団の遺伝構造は九州・琉球地域から連続的に変化したものといえるが、足摺と室戸の集団間では遺伝的組成が異なることが示唆された。以上のことから室戸集団は足摺集団とは移住や定着の歴史的・時間的背景が異なり、遺伝的に偏った個体によって創始された集団であること、あるいは他集団との遺伝子流動が少ないために遺伝的浮動(genetic drift)により他集団とは遺伝的に若干異なる特徴をもつ集団であることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体として研究計画書のとおりにすすんでいると認識している。当初の予定よりも頻度を多くして結実を観察できており、より細かな解析が可能となっている一方、DNAの抽出作業はやや滞っているものの、全体の進捗を遅らせているわけではない。
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Strategy for Future Research Activity |
結実のモニタリングを2年間続けたところ、室戸では冬期に大量結実する個体、すなわち花粉媒介者であるコバチを十分に越冬させることができていないことが示唆された。また足摺でも越冬結実タイプの個体が年ごとに違っており、環境要因などの影響で冬期結実ができない場合があると考えられた。そのため、冬期に結実することのできる個体の数が個体群として送粉共生系の安定にとっては重要と推察される。今後は現在の研究計画を継続するとともに、分布を北方へと広げる上で重要な耐冷性と個体の遺伝型との関係についても探っていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
DNA抽出・分析作業について予定のサンプル数をこなすことができなかったため、経費を繰り越した。単純に年度の切れ目をまたいでしまったため、手続き上、繰り越しとした。 昨年度におこなう予定であったものを今年度に順次おこなっていくことによって、十分に予定のサンプル数を分析することができる。
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Research Products
(1 results)