2012 Fiscal Year Research-status Report
災害前後に計測された航空レーザー測量データを利用した山地斜面の崩壊危険個所の特定
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24658146
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
村上 亘 独立行政法人森林総合研究所, 水土保全研究領域, 主任研究員 (10353880)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 空中レーザー測量 / 斜面変形 / 崩壊 / GIS / 2008年岩手・宮城内陸地震 |
Research Abstract |
2008年岩手・宮城内陸地震の災害地である宮城県栗原市において、入手した地震前後の空中レーザー測量(LiDAR)データから、陰影図および等高線図および断面図をそれぞれ作成した。断面図以外の作成した図はArcGIS上で重ね合わせ、比較することで、斜面に変形が認められる箇所を抽出した。特定した箇所については、現地を踏査することで亀裂の有無といった斜面の変形を確認した。これまでに確認した斜面の変形箇所では、すでに崩壊が発生している箇所も認められるものの、亀裂等の斜面の変形のみで崩壊に至っていない箇所が複数認められた。斜面の変形が確認された箇所については、次年度の調査のために、亀裂が発生した位置をGPSを使用して記録し、地図上に記載した。その一方で変形の痕跡が認められない箇所も複数認められた。この原因については計測されたデータの精度、データの処理(植生データを除去するフィルタリング作業など)、あるいはその後の解析作業にともない発生する誤差が原因であろうと推測された。 このほかに、2011年3月11日に発生した東日本大震災後に計測されたLiDARデータを入手し、陰影図、等高線図および断面図を作成した。作成した図と上記の2008年岩手・宮城内陸地震後のLiDARデータから作成した図を比較し、斜面の変形箇所の有無を確認する作業を行った。作業結果については次年度に現地を踏査し、確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災後のLiDARデータの解析による震災による斜面の変形の有無は現在確認作業中であるが、当初の目的とした、複数の時期のLiDARデータの解析から斜面の変形箇所を抽出し、現地踏査から亀裂等の斜面の変形の痕跡を確認することはできているため、当初の目的を達成したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き解析結果の確認作業を行う。それとともに確認された斜面の変形の進行の有無および脆弱な層(すべり面)を確認するために、現地測量、貫入試験等による土質調査、土質断面調査などを実施する。さらに周辺の地形・地質および降水量のデータを収集し、これまでの降雨状況と崩壊の発生状況との関係を検討し、崩壊の危険性を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
備品および消耗品を購入した際に当初の予定金額よりも価格が下がり、余剰が生じた。余剰分は、これまでのデータの解析結果を確認するためには現地を踏査することが必要であるため、その経費とする。
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