2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24658152
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿久津 好明 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (30175814)
|
Keywords | 木質バイオマス / 過酸化物 / バイオマス燃焼 / バイオディーゼル燃料 |
Research Abstract |
化石燃料に代わる新たなエネルギー源として、また地球環境問題への対応策としてバイオマス燃料の導入が推進されている。バイオマス燃料の多くは構成元素として酸素を含有するため、従来の炭化水素燃料に比べて燃焼させた際の生成物として含酸素化合物が多く含まれることが予想される。 本研究ではバイオマス燃料の燃焼からの環境影響物質の生成挙動の評価を行うことを目的として、木質ペレットとバイオディーゼル燃料の燃焼からの過酸化物生成に着目した。 本研究で用いた過酸化物測定手法では燃焼排気を吸収液に導入後、誘導体化して分析を行っており、共存する燃焼生成物の影響を受ける可能性がある。燃焼から生成する一酸化窒素(NO)が過酸化物濃度に及ぼす影響を検討した結果、今回の実験での試料採取時に共存する程度のNO濃度では測定結果に及ぼす影響は限定的であることがわかった。 燃焼実験の結果、木質ペレットの燃焼では過酸化水素の数十倍の有機過酸化物が生成することがわかった。またバイオディーゼル燃料を使用した自動車の排気からは過酸化水素が有機過酸化物の数倍程度生成し、アイドリング時で全体で数十ppbv程度の比較的高濃度の過酸化物が検出された。 大気中の過酸化物濃度は通常、過酸化水素が数ppbv程度、有機過酸化物が数百pptv程度であることから、バイオマス燃料の燃焼による過酸化物生成が燃料の使用量や燃焼状況によっては大気環境に影響を及ぼす可能性があることが示唆された。
|