2013 Fiscal Year Research-status Report
規則性人工リグニンポリマーによるモノリグノール重合の制御
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24658156
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
岸本 崇生 富山県立大学, 工学部, 准教授 (60312394)
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Keywords | リグニン / モノリグノール / 脱水素重合 |
Research Abstract |
本研究は、比較的疎水的であるといわれている樹木細胞壁内のリグニンの生合成環境をフラスコ内で再現し,筆者らが独自に合成に成功したβ-O-4型人工リグニンポリマーを,生長しつつあるリグニンの鋳型(テンプレート)として作用させることにより,モノリグ ノールの脱水素重合の制御を行うと共に,どのような機構によってリグニンの化学構造が決定されるのかを明らかにし,フェノール類の重合制御による機能性ポリマーの合成へと展開するための基盤技術を確立することを目的としている。本年度は、昨年度に引き続き、西洋わさびペルオキシダーゼを用いて、両親媒性のポリエチレングリコール(PEG)鎖が導入された有機溶媒耐性ペルオキシダーゼの調製を行ない、PEG化の反応条件の検討を行った。また、未処理のペルオキダーゼを用いてコニフェリルアルコールを酸化カップリングし、その反応生成物から、2量体~4量体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーやTLCなどで分取した。さらに、HPLCによる反応生成物の定量を行うための、最適なカラムの探索や、溶離液の条件などの検討を続けている。また、酸化銀を用いて水溶液より疎水的なジオキサンやベンゼン等を用いたモノリグノールの酸化カップリングを行い、溶媒の効果について検討した。β-O-4型人工リグニンオリゴマーの合成では、反応条件を検討し、最終的にグアイアシルタイプの2量体および3量体の合成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に既に開始していたペルオキシダーゼのPEG化は、再現良くできることがわかった。また、モノリグノールの酸化カップリング反応生成物から、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどによる分取操作を繰り返すことにより、5種のモノリグノールの脱水素重合物の単離をすることができた。また、酸化カップリングに溶媒の効果があることも明らかにできた。しかし、HPLCによる反応生成物の分析条件の検討は思うように進まなかったため、おおむね順調とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、合成した有機溶媒耐性ペルオキシダーゼ(PEG化ペルオキシダーゼ)を用いて、モノリグノールの脱水素重合を行ない、疎水環境の影響を検討する。また、昨年度合成したβ-O-4型人工リグニンポリマーを用いて、β-O-4鎖が鋳型として働くかどうかについても検討する。反応生成物のHPLCによる分析条件も検討を続ける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進展に伴い、40万円の前倒し請求をした。HPLCによる反応生成物の分析・分取が計画時より困難であることが判明したため、最適な分析カラムや分取カラムを検討するための予算が当初の想定より多く必要になった。しかし、メーカーの年度末キャンペーンなどを利用した結果、約6万円の未使用額が発生することとなった。 次年度使用予定額は、残金と合わせて40数万円である。酵素の購入や反応試薬、HPLC溶媒の購入、学会参加旅費等に使用する予定である。また、HPLCの保守にも使用する予定である。
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