2014 Fiscal Year Annual Research Report
規則性人工リグニンポリマーによるモノリグノール重合の制御
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24658156
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
岸本 崇生 富山県立大学, 工学部, 准教授 (60312394)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リグニン / モノリグノール / 脱水素重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、比較的疎水的であるといわれている樹木細胞壁内のリグニンの生合成環境をフラスコ内で再現し、β-O-4型のリグニンオリゴマーを、成長しつつあるリグニンの鋳型(テンプレート)として作用させることにより、モノリグノールの脱水素重合の制御を行うとともに、どのような機構によってリグニンの化学構造が決定されるのかを明らかにし、フェノール類の重合制御による機能性ポリマーの合成へと展開するための基盤技術を確立することを目的としている。まず、β-O-4型のリグニンモデルオリゴマーの合成では、ステップワイズなリニア型の合成ルートを用いて2~5量体までのオリゴマーの合成を達成することができた。さらに、酸化銀を用いたモノリグノールの酸化カップリングでは、水中よりも疎水的な有機溶媒中での反応において、γ位にアセチル基を有するシナピルアルコールは、シナピルアルコールの場合よりもβ-O-4構造の生成が優先することを見出した。化学計算ソフトを用いてDFT計算を行ったところ、γ位のアセチル基の電子吸引効果により、β位の電子密度が有為に減少していることがわかった。これらのことから、γ位にアセチル基を有するシナピルアルコールは、β-O-4構造の形成時に、接近するラジカル同士のクーロン反発が抑制されるためにβ-O-4構造の生成が優先することが示唆された。静電相互作用の寄与が示唆され、β-O-4型のオリゴマーのテンプレート効果の検証とともにさらに検討を続ける予定である。
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