2012 Fiscal Year Research-status Report
共同操業化によるリスクに強い気仙沼延縄漁業への再建:地域参画型社会実装研究創生
Project/Area Number |
24658166
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石村 学志 北海道大学, サステイナビリティ学教育研究センター, 特任助教 (50524815)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 震災復興 / 漁業 / 気仙沼 / 鮫漁業 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトでは、気仙沼で生き残った近海鮪延縄漁船団の実際の共同操業化による漁獲・水揚げ結果を計量経済分析することで、漁業が直面する多様なリスクに強い漁業を漁業者との協力による実証・探索的地域参画型研究により見出すことを目的としている。そこで本研究ではプロセスを1) 共同操業の社会実装と2) 地域参画型研究創生の二つに分けて研究をおこなっている。平成24年度は「共同操業の社会実装」では、事前情報整理、リスク評価指標抽出、研究仮定リストアップ、共同操業へベースモデル拡張を意図し、 さらに「地域参画型研究創生」では、ワークショップによる研究手法の周知、ワークショップ運営の確立 を目指した。この目的を達成するために、計3回の気仙沼市での気仙沼遠洋漁業協同組合及び気仙沼遠洋漁業協同組合によりデータ収集のための調査をおこなうとともに、甲板員、船主、仲買人などへの個別の聞き取り調査をおこなった。本研究が対象とする近海鮪延縄漁船団の共同操業は平成24年4月から始まり、震災を生き残った16隻中13隻が4グループに分かれて操業をおこなってきた。平成25年3月までに第10航海までがおこなわれ、この操業データ、水揚げデータ、そして水揚げの市場データ(価格)の統合を現在おこなっている。聞き取り調査は1名あたり30分から1時間程度、累計15名に面談をおこない、現在の経営状況を中心にワークショップ開催のための人的ネットーワーク構築、そして、より深度のあるインタビューを行うための事前調査をおこなった。また、予備ワークショップという位置づけで計2回、気仙沼遠洋漁業協同組合の協力のもとで、船主の方々に集まっていただき研究内容や方針、そして途中経過を報告するミーティングを開催した。あわせて共同操業に対する水産庁の施策・方針を調査するために農林水産省での聞き取り調査を一回おこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「共同操業の社会実装」においては、昨年4月より共同操業が始まったため、今年3月まではデータの収集とその体制作りに重点おいた。結果として、必要なデータをほぼ一ヶ月ごとに得られるシステムができあがり、これからもデータの蓄積が期待できる。「地域参画型研究創生」では、当事者(漁業者、船主、組合、仲買人、加工業者)なかに人的ネットワークを構築をつくることができ、研究への理解も深まった。これから、積極的に地域参加型研究の創成へと結びつけてゆく基盤が初年度はできた。しかしながら、加工産業の再生などの復興が進んでおらず、本漁業のポテンシャルをひきだせる状態には今だにいたってはいない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には「共同操業の社会実装」では共同操業データ収集・分析、ベースモデル作成とアップデートをおこなってゆく。また、復興に際して漁業者から収集したデータを統合したデータベースがこれから、必要という声があがっているため、研究の一環として,漁業者や漁業組合が使用できるデータベースについても、平行して構築してゆく予定である。 「地域参画型研究創生」における予備調査、予備ワークショップにおいて、共同操業をおこなってゆくなかで様々な問題が浮き彫りになってきた。こうした問題や研究結果をワークショップという形で地域の当事者と話し合い、研究の深度を深めてゆく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の予算のなかでできるだけ多くの回数を気仙沼に出向きデータ収集そして地域の人々とのワークショップにあてて行きたいと考えている。また、ベース作成のために補助者が必要になっている。こうしたことを考慮に入れて、国内旅費に50万円、研究補助に30万円を計画している。のこりの20万円でカナダでの学会に参加し、研究に対するフィードバックや議論を深めてゆければと考えている。
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