2013 Fiscal Year Research-status Report
共同操業化によるリスクに強い気仙沼延縄漁業への再建:地域参画型社会実装研究創生
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24658166
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石村 学志 北海道大学, サステイナビリティ学教育研究センター, 特任助教 (50524815)
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Keywords | 漁業再建 / 震災復興 / 漁業行動 / 国際共有資源 / 水産経済 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトでは、気仙沼で生き残った近海マグロ延縄漁船団共同操業化による漁獲行動・漁獲量・水揚げ高等を分析することで、多様なリスクに対して強い漁業の形を見出すことを目的する。そこで本研究ではプロセスを1) 共同操業の社会実装と2) 地域参画型研究創生の二つに分けてステークホルダー(漁業関係者)や地域社会との協同による実証・探索的地域参画型研究をおこなっている。平成25年度は「共同操業の社会実装」では共同操業データ収集・分析、ベースモデルアップデートを計画し、さらに「地域参画型研究創生」では、ワークショップでの研究結果発表とステークホルダーからのフィードバックをめざした。この目的を達成するために、計5回の気仙沼市での気仙沼漁業協同組合(及び気仙沼遠洋漁業協同組合からのデータ収集のための調査をおこなうとともに、甲板員、船主、仲買人などへの個別の聞き取り調査をおこなった。 本研究が対象とする近海マグロ延縄漁船団の共同操業は「がんばる漁業震災復興支援事業」として震災後の平成24年4月から始まった。現在、震災を生き残った15隻に火災消失により震災後新造された2隻を加えた計17隻が4班に分かれて操業をおこなっている。 平成26年3月末までに計277航海(平成24年度119航海、平成25年度158航海)が行われ本研究では操業位置情報を含む一日単位での漁獲および操業位置を含む操業データと水揚げデータ、そして水揚げの原評による市場データ(水揚げ単位あたり)計8万6千件を収集し、データベース化をおこなった上でのデータ統合を進めている。 現在までにこうしたデータから1)操業位置情報の視覚化とパターン解析2)ベースモデル拡張によるベイズ意思決定分析の探求をおこなってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必要なデータが集まりつつあり、分析をおこないながら、さらなるデータの蓄積が期待できる。また、当事者のなかで研究への理解が深まり、協力を得られる体制ができている。また、実際の共同操業とともに、研究を進めてゆくにあたり、また、当事者・地域からのフィードバックにより現在のこの漁業にとってのリスクが何であるのか、また、これからこの漁業にとって何が必要なのかが明らかになりつつある。こうしたなかで、本研究の方向性を調整し、より社会実装に向けた基盤ができつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本漁業の復興支援事業である「がんばる漁業震災復興支援事業」は来年度に終了し、新たな再建計画のデザインが急務となっている。これまでの研究から「共同操業の社会実装」にむけてはより空間的な漁場分析と、その結果を受けた共同操業提案が必要だとわかってきている。最新のメカジキ・ヨシキリ鮫の資源評価結果が来年度はでることから、ベイジアン意思決定分析にこうした結果を入れつつ、空間的分析の要素を導入できる可能性をこれから探求する。新たな再建計画にどれほど、フィードしてゆくことのできる研究に最終年度は完成させてゆく。
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