2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24658168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 範聡 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (10370131)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 魚類 / 攻撃性 / 脳 / 男性ホルモン |
Research Abstract |
同種の他個体に対して強い攻撃性を示す魚種は少なくない。何らかの手段で魚類の攻撃性を抑制することができれば、多くの魚種の養殖効率が飛躍的に上がると期待される。 これまでに、魚類の攻撃性を高める主因子は男性ホルモンであることが知られているが、男性ホルモン作用を阻害することで、攻撃性を抑制するアイデアは現実的ではない。そこで私は、男性ホルモンによる攻撃行動の誘導に関わる脳内メカニズムを明らかにし、そこをピンポイントで制御できれば、生殖機能など他の男性ホルモン作用には影響を与えることなく、攻撃行動のみを抑制できるはずだと考えた。そのような着想のもと、本研究では、男性ホルモンによって制御され、攻撃行動を引き起こす脳内遺伝子の単離・同定を試みることとした。 本年度は、そのような遺伝子の候補としてバソトシン遺伝子(vt)を同定した。vtは、メダカの脳における発現レベルがオスで高いこと、男性ホルモンを投与したメスで高まること、そして、攻撃行動を促進する薬理効果をもつという報告がなされていることなどから、攻撃行動を支配する非常に有力な候補遺伝子であると考えられた。また、視床下部内の一部の神経核において、オス特異的に発現していることも明らかとなった。 その後、既に作製しているメダカ脳の完全長cDNAライブラリーを用いて、vtのcDNAをクローニングするとともに、メダカのゲノムデータベースを用いて、その遺伝子をin silicoクローニングした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、攻撃行動を支配する候補遺伝子のスクリーニング、およびクローニングを平成24年度に予定していたが、実際に、非常に有力な候補遺伝子としてvtを同定し、そのクローニングを終えている。したがって、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
攻撃行動を支配する候補遺伝子をvtに絞り、予定通りの解析を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初に計画していたRNA-seq解析を行わずとも、比較的小規模のスクリーニングによって、vtという非常に有力な候補遺伝子が得られたので、一部の研究費を次年度に繰り越すこととなった。次年度には、in situハイブリダイゼーションを用いた解析を計画しているが、当研究室で現在所有している共焦点顕微鏡のスペックでは、その解析に多大な労力がかかってしまう。そこで、繰り越した研究費を次年度の研究費と合わせて、解析を効率化する共焦点顕微鏡システムの購入に充てることとする。
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