2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24658170
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
海野 徹也 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (70232890)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 海洋資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成24~26年度にかけて、クロダイの主要漁場として知られる広島湾をモデルフィールドとして、クロダイの分離浮遊卵に潜む未知の遺伝生態情報の収集を試みた。 クロダイに特異的なプライマーセットによるミトコンドリアDNAの定量PCRにより浮遊卵の発育段階の推定を試みた結果、桑実胚から孵化までの段階であれば推定可能であった。 一方、広島湾で採集された浮遊卵の発生段階は、発生が進むにつれて密度が減少し、受精から孵化までに著しい減耗が起きていることが示唆された。減耗曲線より、広島湾全体のクロダイ卵の減耗率は0.90/dayであると推定された。 受精直後の浮遊卵に基づく同湾におけるクロダイの産卵量は1立方メートルあたり60個/dayに達し、成魚量は最大12000トンと推定された。広島湾のクロダイ卵密度は、宇和島湾、大阪湾、伊予灘(0.5~11.2)と比較すると非常に高く、概ね漁獲量を反映した結果となった。さらに、受精卵とマイクロサテライトDNAマーカーを用いて有効親魚数を調べたところ、遺伝変異保有量が高く、無限値が検出された。 現在、広島湾のクロダイ漁獲量は、ピーク時の半分以下となっているものの、広島市の漁獲量を同湾全体の漁獲量と仮定すれば、漁獲圧(漁獲量/資源量)は0.02となった。広島湾のクロダイは遺伝的多様性も高く、持続的利用が可能な資源状況であると思われる。
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Research Products
(2 results)