2012 Fiscal Year Research-status Report
干潟域放流種苗の種間関係の解明~包括的な種苗放流管理を目指して~
Project/Area Number |
24658173
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
阪倉 良孝 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (20325682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崎山 一孝 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, グループ長 (90426312)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水産学 |
Research Abstract |
『干潟放流種苗(トラフグ,クルマエビ,アサリ)の間に被・捕食関係があるが,各々の種にとって最適なマイクロハビタットがあり,そこに放流することで種間干渉を軽減できる』という作業仮説のもとに,フィールドと実験室レベルの2面から実験・調査を実施した。 実験I-1:干潟域における放流種苗の種間関係;瀬戸内海区水産研究所海産無脊椎動物研究センター近辺の干潟において,トラフグ,クルマエビ,ガザミ,アサリの放流が行われている。そこで,当該海域においてこれらの生物の採集と生息状況の調査を実施した。トラフグ稚魚20尾を採集できたが,いずれも空胃であり,消化管内容物の確認ができなかった。 実験I-2:実験環境下の放流種苗の種間関係;天然水域では種苗の行動調査が困難なため,実験水槽(30~100 L)を利用して,種苗種間の被食・捕食関係を調査した。異なる体サイズのトラフグ(30~90㎜)またはクルマエビ(17,80,140㎜)を異なる殻長のアサリ(0.2~11㎜)種苗と同所させて,種間関係の時間経過を定量解析する。トラフグはアサリに対して捕食行動を示さなかったが,クルマエビについては捕食するアサリの殻長を体サイズ群ごとに特定することができた。 実験II:対象種種苗放流に適正なマイクロハビタットの解明; 実験I-2と同様に,異なる体サイズのトラフグ種苗について,塩分勾配を設けた水槽を利用して,それぞれの選好する塩分を特定する。その結果,体長50㎜以上の個体が10~23.5 psu低塩分を選好することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
飼育実験のうち実験IIについては当初計画していた実験をほぼ終了し,実験I-2について,当初予定していたトラフグに加えてクルマエビについても定量実験を実施することができ,当初計画を大幅に上回る成果を上げることができたと考える。 一方,実験I-1の野外調査では,当初予想していた種が採集できなかったことに加え,採集できた種についても個体数が少なく全て空胃であったため予定の解析を進めることができなかった。野外調査では起こりえることとはいえ,進捗が遅れている。 以上の観点から概ね順調に進んでいると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
実験I-1:干潟域における放流種苗の種間関係; 前年度に引き続きフィールド調査を継続し,トラフグおよびクルマエビの消化管内容物から,放流アサリの有無を遺伝子解析により判定する。また,対象種以外の放流種(ガザミなど)の種間関係についても調査を展開する。 実験I-2:実験環境下の放流種苗の種間関係; 実験水槽(500~2,000 L)を利用して,種苗種間の被食・捕食関係の調査を継続する。異なる体サイズのクルマエビ(20~60 mm)種苗を異なる殻長のアサリ(10~30 mm)種苗と同所させた場合に,時間経過とともにどのような種間関係が生じるかを行動学的に定量解析する。トラフグとクルマエビの種苗は実験I-1で放流されているものを購入し,アサリについては瀬戸内海区水産研究所海産無脊椎動物研究センターで放流用に種苗生産をしたものを使用する。 実験II:対象種種苗放流に適正なマイクロハビタットの解明; 異なる体サイズのトラフグとクルマエビ種苗について,塩分勾配や,異なる粒径・粘度の底質を設けた水槽を利用して,体サイズや発育段階に応じてどのような底質を選好するかを定量解析する。塩分と底質への選好性を調べることで,より天然域の生態を反映した行動特性を明らかにすることが出来る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度の研究費は適正に使用したが,ごくわずかな余剰分が25年度に繰り越された。 今後はこのようなことがないように厳に適正な使用を心がける所存である。 25年度については概ね請求どおりに使用予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Salinity selectivity of tiger puffer juveniles.2012
Author(s)
Yamane, H., Okita, K., Sakiyama, K., Yamasaki, H., Takatani, T. & Sakakura, Y.
Organizer
10th Japan-Korea, Korea- Japan Joint Symposium on Aquaculture 2012
Place of Presentation
長崎大学
Year and Date
20121208-20121209