2013 Fiscal Year Annual Research Report
ラドントレーサーによる若狭嶺南流域圏における地下水湧出が生物生産に及ぼす影響評価
Project/Area Number |
24658175
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
田原 大輔 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (20295538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 亮 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 助教 (00533316)
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Keywords | 海底湧水 / ラドントレーサー / 沿岸生態系 / 一次生産 / 生物多様性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、放射性同元素であるラドン(222Rn)を用いることで、これまで見えていなかった地下水の影響を可視化し、地下水インパクトが一次生産過程や生物群集構造に与える影響を調べることである。そこで、集水域内に豊富な地下水資源を備える小浜湾を対象とし、2013年2月から11月にかけて実施した調査結果をもとに、222Rnと塩分の収支計算を行ったところ、陸域からの全淡水流入量の4~44%(0.05~0.80×106 m3 d-1)を地下水が占めていた。特に、河川流量の低下する夏季に、河川水に匹敵する量の淡水を湾内に供給していた。また、地下水湧出量の時間変化は、陸域の地下水と海面水位の時間変化によって主に説明された。また、陸域の地下水では、北川支流の湧水河川には水温が異なる2系統の地下水が湧出し、ともに河川水温の変動パターンと約3か月のずれを生じていた。 次に、地下水による栄養類の輸送量を調べたところ、溶存無機態の窒素、リン、ケイ素でそれぞれ、全陸水由来の栄養塩輸送量の39%、58%、37%を占めていた。淡水輸送量に比べ、栄養塩輸送量の寄与率が増加するのは、河川水よりも地下水の方が栄養塩類が高いことに起因している。地下水が河川水よりもリンを豊富に供給するという点を考慮すると、リン制限下にある小浜湾内の一次生産過程に地下水が重要な役割を果たしていると言える。実際、222Rnの曳航調査によって地下水流出が集中していることが明らかになった小浜湾東部海域において、222Rn濃度の測定と13C法による現場での一次生産力の測定を行ったところ、222Rn濃度と一次生産力に明瞭な正の相関関係が認められた。それゆえ、地下水からもたらされる栄養塩類が小浜湾の生物生産に極めて重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Submarine groundwater discharge in Obama Bay, Japan.2013
Author(s)
Hisami Honda, Ryo Sugimoto, Shiho Kobayashi, Yoshitake Takao, Daisuke Tahara, Osamu Tominaga, Makoto Taniguchi
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Journal Title
Proceedings of the Global Congress on ICM: Lessons Learned to Address New Challenges, EMECS 10 -MEDCOAST 2013 Joint Conference
Volume: 1
Pages: 1169-1176
Peer Reviewed
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