2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24658176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
倉田 修 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (90277666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中易 千早 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, その他 (00311225)
岡内 正典 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (40372023)
尾崎 照遵 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (40416045)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞・組織 / 免疫学 / 発生・分化 / 移植 / 造血 |
Research Abstract |
感染時に必要とされる免疫細胞を供給する造血機能の特性について明らかにする。造血機能の解析は、培養維持されたヒラメ造血前駆細胞(YS-1 HPC)を同一雌性発生ヒラメ家系(YS-1)の生体に移植し、病原体の感作による細胞分化および増殖を調べることにより行う。①YS-1 HPCの移植後の生着性について調べたところ、移植2ヶ月後のYS-1腎臓(造血器)中に移植細胞の存在が確認された。本結果より、移植細胞は腎臓中に生着し得ることが分かり、長期観察のための移植試験条件を決定できた。②細胞分化を評価するために遺伝子マーカー(T細胞マーカー、B細胞マーカー、その他白血球発現遺伝子)を整備した。これらマーカーのYS-1 HPCにおける発現状態を調べ、分化解析の基礎データを得た。③移植細胞の長期観察を可能にする恒常的な蛍光発現細胞を樹立するためのEGFP発現コンストラクトを構築した。YS-1 HPCで強発現するCCL4、TLR2およびPU1遺伝子の5´flanking領域(2~5kb)および3´UTR(280~550bp)をクローニングし、EGFP遺伝子と連結(5´flanking‐EGFP‐3´UTR)させた。これにより、蛍光発現細胞を樹立するための、YS-1 HPCへの本コンストラクト導入試験の準備を整えた。④細胞分化および増殖を誘導するための病原体感作条件について、ホルマリン不活化Edwardsiella tardaを用いて試験した。不活化菌をヒラメ腹腔内に接種後、チミジンアナログであるBrdUを腹腔内に注入し、増殖細胞をBrdUで標識した。BrdU陽性細胞は腎臓中で確認されたことから、病原体感作による造血細胞の増殖誘導条件が決定された。⑤雌性発生ヒラメ家系(YS-1)を約200尾生産し、本研究に供試した。多型解析の結果、試験魚のMHCクラス1はホモ型であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
移植細胞の生体内での挙動を解析するための試験条件(①移植試験、②遺伝子マーカー、④病原体感作)を決定することができた。③恒常的に蛍光発現する細胞の樹立については、引き続き試験を進めることになるが、発現コンストラクトを既に構築していることから、おおむね順調に進展していると判断した。移植試験を可能にする雌性発生家系ヒラメYS-1の生産も順調であり、予定通り試験が進められている。解析のための試験条件が整ったことで、次年度以降、計画通り研究を実施することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定した研究実施計画の通り、培養維持されている造血前駆細胞(YS-1 HPC)をYS-1個体に移植し、病原体感作後の移植細胞の増殖・分化動態を解析する。移植細胞は恒常的な蛍光発現を有したものを使用する予定であったが、現段階で蛍光発現細胞の樹立を終えていないことから、移植細胞の蛍光標識は、長期間の細胞トレースを可能にする蛍光試薬を用い、恒常的蛍光発現の代替とする。今年度の試験結果から、病原体感作による細胞増殖は5~10日程度で確認できることが分かったため、市販の蛍光標識試薬の使用も可能であると判断した。より長期の観察を可能にするために、恒常的な蛍光発現細胞の樹立は次年度も引き続き実施することにした。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定した研究実施計画に沿って、研究費を使用していく。次年度は、細胞増殖および細胞分化評価のための細胞分取および遺伝子解析に関する経費が主な研究費となる。今年度計画した恒常的な蛍光発現細胞の樹立は、発現コンストラクトの構築まで終えることができたが、当初予定していた遺伝子導入試験は実施しなかった。そのため、次年度使用予定研究費(次年度使用額313,241円)が発生した。恒常的な蛍光発現細胞の樹立は引き続き実施する予定であり、次年度実施する遺伝子導入試験に当該研究費を充当する。
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Research Products
(3 results)