2013 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染後の植物プランクトン個体群の生残を説明する新奇仮説の検証
Project/Area Number |
24658178
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
外丸 裕司 独立行政法人水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所, 主任研究員 (10416042)
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Keywords | ウイルス抵抗性 / 珪藻 / バクテリア |
Research Abstract |
珪藻は通常、ウイルス存在下では生残できず全滅する。ところが,海産浮遊性珪藻Chaetoceros tenuissimusは、バクテリア存在下ではウイルスCtenRNAV接種後でも効率良く生残するた。本研究ではウイルス接種後の珪藻宿主生残におよぼすバクテリアの影響を評価することを目的とした。 昨年に引き続き、プレートを用いて珪藻のウイルス抵抗性にかかわるバクテリアの単離を試みた(のべ196株)。それらのバクテリア株のrRNA遺伝子16s領域の塩基配列解析を行い、それらがNautella sp.、Sulfitobacter sp.、Polaribacter sp.に属することを明らかにした。さらにそれらの16s領域のアライメントからプライマー・プローブ領域の抽出に成功し、当該種の現場における特異的検出技術構築のための基盤を構築した。また、各分離株について珪藻・バクテリア・ウイルスの三者で培養を行ったところ、いずれの分離株でも珪藻のウイルス抵抗性を誘導可能なことが明らかとなった。バクテリア存在下でウイルス抵抗性状態の珪藻培養について、核酸染色による蛍光顕微鏡観察を行ったところ、珪藻細胞の周辺にバクテリアが張り付いているような状態が観察された。そして培養実験では、珪藻個体群がウイルス抵抗性の状態の時には、珪藻細胞内でウイルスゲノムの複製が起こっていないことが、ノザン解析により明らかになった。 以上の結果から、珪藻のウイルス抵抗性にかかわるバクテリアは種特異的ではなく、むしろ抵抗性には種や属を超えたバクテリアに共通する機能の一部が関与するものと推察された。
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