2014 Fiscal Year Annual Research Report
深海性二枚貝類の生存戦略 -硫化水素応答機構の解明-
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24658187
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小糸 智子 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (10583148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧口 祐也 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (00584153)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | セロトニン / シチヨウシンカイヒバリガイ / ドーパミン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は二枚貝類組織中のセロトニンを含むカテコールアミン類を直接定量するための方法を検討した。重量を量った組織に0.1N過塩素酸とイソプロテレノール塩酸塩を添加し、ホモジナイズした上澄を精製し、HPLC-ECDにより定量した。その際、組織サンプルに標準物質を添加することによりノルアドレナリン(NA)、アドレナリン(AD)、セロトニン(5HT)、5HIAA、ドーパミン(DA)、DOPAC、ホモバニリン(HVA)を添加することによりピークの特定を行なった。 試料としてシチヨウシンカイヒバリガイとムラサキイガイを用い、鰓、足、外套膜を分析に供した。その結果、いずれの組織中からもカテコールアミン類が検出された。ムラサキイガイ外套膜は全てのカテコールアミンが最も多く含まれており、特にADが多く含まれていた。この傾向はシチヨウシンカイヒバリガイも同様であった。無脊椎動物はオクトパミンが多量に存在することが知られているが、ほぼ検出されなかった。シチヨウシンカイヒバリガイとムラサキイガイを比較すると、シチヨウシンカイヒバリガイは全組織においてDOPAC、5HIAAが著しく少ないことが明らかとなった。また、NAはシチヨウシンカイヒバリガイ鰓で多く、足で少ないのに比べ、ムラサキイガイは鰓で少なく足に多い傾向がみられた。2種に共通した傾向として、DAは鰓に多く足に少ないこと、5HTが鰓に少なく足に多いことが挙げられる。得られた結果からシチヨウシンカイヒバリガイはDAとして組織中に保持し、DOPAC、HVAへあまり代謝しないことが考えられた。また、2種は5HTから5HIAAへの代謝をあまり行なっていない可能性が示唆された。今後は硫化物刺激によってカテコールアミン類の種類や量が変化するか明らかにすることで、深海性二枚貝類の硫化物応答機構について考察する予定である。
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