2013 Fiscal Year Annual Research Report
東日本大震災後の農業法人によるアジア進出と日本農業再生の可能性
Project/Area Number |
24658189
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
木下 幸雄 岩手大学, 農学部, 准教授 (90323477)
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Keywords | 農業経営 / 農業法人 / 海外進出 / 東南アジア / ジャパンブランド |
Research Abstract |
本研究では,東日本大震災後の日本農業再生の可能性を,農業法人によるアジア進出の動きに求め,ダイナミックにアジア農業進出の具体的な形態を追求し,アジア農業ビジネスの展開に際して実務的に必要な課題を析出することを目的とする。ダイナミックな進出形態の1つとして,『ジャパンブランド型進出』の可能性を検討した。農業法人との打ち合わせを通じて,日本農業が有する優位性を確認した上で,農法的条件とビジネス環境を総合的に分析しながら,アジア農業進出のハブ拠点としてタイ,周辺の進出未開発国(ベトナム,カンボジア)について精力的に現地調査した。 本研究過程では,以下の10項目について考察した。1.農業グローバル化の新たな課題,2.アジア進出に挑む農業経営者の出現,3.アジア農業の進出パターン,4.調査内容の設計,5.農業経営のアジア展開戦略,6.アジア地域で日本式農業生産・経営が求められる背景,7.技術(特許・品質)を活かすビジネスモデル,8.規制の緩い環境(国)における創造的農業経営の可能性,9.アジア地域に溢れる意欲ある若年労働者の育成・活用,10.求められる機能分担とビジネス連携。 本研究から得られた知見を簡潔にまとめると,以下の通りである。日本の農業法人によるアジア農業進出の動向は,アジアの中の日本農業を再認識させる大きなきっかけを提供している。また,拡大するアジアは日本農業にとっても増大する機会を提供し,また,既成概念を見直すきかっけともなり得る。したがって,アジア進出の経験を日本農業再生に活かすことは十分に検討に値する戦略である。さらに,アジア農業進出の成功の鍵は,知的財産権,指導力,ビジネス力にあることも示した。 以上の通り,日本農業が有する優位性を確認したとともに,アジア農業ビジネス展開に際して実務的に必要な課題を明らかにし,アジア進出と日本農業再生の可能性を示した。
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Research Products
(3 results)