2013 Fiscal Year Research-status Report
イノベーション・マネジメントを可能とする農村ツーリズム経済学の先駆的基礎体系化
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24658191
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大江 靖雄 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (60302535)
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Keywords | 農村ツーリズム / プロダクトイノベーション / 多面的機能 / 農業の教育機能 / 震災復興 |
Research Abstract |
1)農業における教育機能を制度化したプログラムとして取り組まれている酪農教育ファームの活動に対する就農後継者の意識を、一般酪農後継者の多角化意識とアンケート調査結果から、比較して考察した。その結果、酪農教育ファーム就農後継者では、一般酪農就農後継者と比べて、経営多角化の意欲が高く、実際に経営多角化活動も積極的に行っていることが判明した。 2)松戸市の観光梨園の庭先販売価格と経営的要因との関連性について、ヘドニック価格モデルにより分析を行った結果、環境配慮型の栽培告知、最寄り駅からの距離、生産者一人当たりの面積が統計的に有意となった。このことから、アクセスの容易さや観光農園としての規模が魅力となることを指摘できる。 3)地震被災地における観光活動の復興との関連性について、都市(神戸市)、離島(北海道奥尻町)、農村(新潟県旧川口町)を対象として、スプライン関数を適用して、その復興のパタンとその要因の解析を行った。その結果、都市型の被災地では回復の支援策も有意に作用し、観光入込客数の回復は比較的容易であるのに対して、農村型と離島型では回復の困難さが目立った。このことは、観光資源の震災による回復過程が一様でないことを示している。また、農村や離島における回復により支援が必要なことを示している。 4)日本の農村ツーリズムの特徴について考察を行った。その結果、西欧に比べて短期の滞在が一般的であることや、農業・農村体験などのサービスに重点が置かれていることを指摘した。 5)教育効果を有する農村ツーリズムを対象として、農村プロダクト・イノベーションの生成と成立について、外部性の内部化の観点からミクロ経済学のフレームワークの下で概念的なモデル化を行った。このモデルの一般性は高く、ミクロ経済学とも整合的であるため、今後の実証分析に適用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果は、英文・和文含めて順調に公表してきており、達成度に関しては、順調に進捗している。今年度は、英文で海外での研究発表を多く行い、海外との共同研究の成果を公表できた。この点から、上記の判断とした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度のため、研究成果のとりまとめとその公表に向けて研究推進する。予算の制約はあるが、特に、海外での研究成果の公表についても力を注ぎ、論文や刊行書の出版に向けて努力する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査対象地の都合により調査の実施が次年度となったため。 調査旅費および、人件費、消耗品費、成果出版の経費に使用する計画である。
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Research Products
(42 results)