2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24658199
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
溝口 勝 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00181917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 幸 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (40302020)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 気象 / ICT農業 / 土壌物理 / 寒試し / 地域活性 |
Research Abstract |
本研究は、伝統的な天候予測手法「寒試し」を実践するリンゴ農家グループと園地モニタリング実験・勉強会を通じて、(1)リンゴ農家が伝統的な「寒試し」にもとめている情報とその利用方法 (2)「寒試し」を通じた農家の連携体制と生産現場における園地情報へのニーズ (3)農村地域のネットワーク構築と効果的な情報利用の可能性 を探り、これらを実現することによって、長年月にわたり農村地域に伝わる伝承や農家の伝統的な知識を整理し次世代への継承を目指すとともに、高齢化や後継者難に苦しむ農村地域において、伝統的手法とICT農業との融合を図ることを目的としている。 本年度は主にリンゴ園地の天候データ収集と「寒試し」の検証を行った。すなわち、青森県津軽地方のリンゴ園において、センサーネットワークを活用した園地情報のモニタリングを行い、農家の理解と協力が得やすい簡易的な装置を用いてリンゴの着色や収穫期の検証などを進めた。このような過程から園地の天候データの効率的な収集にあたって「農家参加」に重点に置き、センサーネットワークと簡易気象計を活用した天候データの収集を行いながら、簡易気象計を協力農家に配布し、農家自身にメインテナンスを依頼した。今年度は、この方法による農家の参加意識とICT 利用に関わる農家の意識変化を分析した。その結果、リンゴ農家は、直接目にすることができる情報として「天候情報」に対し高い関心をもっている一方で、土壌情報(土壌水分・地温・電気伝導度)については、計測にセンサー類が必要となるため、感性的な基準が中心となり、データとして活用する準備が不足していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リンゴ園での開花予測における地温モデルの優位性に関して、2012年の特異な気候下において既存モデルと比較しながらその優位性を証明できた。さらに、簡易温度計を利用して、このモデルの生産現場での実践方法を提示することができた。その結果として、農園ごとあるいは農園内の場所ごとに地温を利用して開花予測ができる可能性を示せた。また、深部地温の変化傾向を活用して、昨今の極端な気候変化への適応策を検討する上でのきっかけが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
開花予測のための地温モデルのさらなる精度向上と農家レベルでの実用化を図る。 (1)これまでの2農園での土壌モニタリングに加え、昨年度よりさらに2農園で調査を進めている.データ数の増強を図ると同時に,異なる条件下におけるモデルの妥当性の検証や精度向上を図る。 (2)実践的な簡易計測を広範囲で実施し、これまでのモニタリングポイントのデータだけではなく、面的な観点からモデルの検証を行う。 (3)連携農家と協力し、予測モデルの活用方法の検討やそれに応じた農作業の進め方について検討を行う。 (4)モニタリングデータを活用して園地の天候特性の分析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、観測機器のメンテナンス、現地農家との打ち合わせに研究費を使用する。
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Research Products
(9 results)