2012 Fiscal Year Annual Research Report
被覆盛土方式による放射性汚染土壌の貯蔵保管工法の実用化試験
Project/Area Number |
24658201
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
森井 俊廣 新潟大学, 自然科学系, 教授 (30231640)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | キャピラリー・バリア / 放射性汚染土壌 / 貯蔵保管工法 / 被覆盛土方式 / 試験施工 / 土中水分 / 東北地方太平洋沖地震 / 原子力発電所事故 |
Research Abstract |
具体的内容: 東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放射性物質が放出され,広域にわたって土壌が汚染された。当面,収集した汚染土壌の長期にわたる安定した貯蔵保管が重要な対処課題となっている。その際,再拡散防止の点から,地下水と雨水の確実な遮断が厳密に確保されなければならない。盛土形式で,かつ高度な土中水の遮断機能をもつキャピラリー・バリア(CB)地盤で被覆する貯蔵保管工法を提案し,その実効性を,実形式の盛土を用いた野外築造・計測試験により検証した。飛島建設株式会社技術研究所の試験ヤードを借用し,2012年5月に,片幅5m,高さ2m,奥行き6m程度のCB試験盛土を造成し,CB層の施工方法と施工性を検討するとともに,約10カ月にわたり,盛土内およびCB層内の土中水分量を計測した。盛土築造と撤去作業に要する人件費,施工機械のレンタル,盛土材料の購入等を含めて造成工事を一括発注したため,交付申請書の「人件費・謝金」経費は,本報告書では「その他」経費として計上されている。 意義: CB盛土の施工において,特殊な建設機械あるいは施工熟練を必要としないことが確認できた。今回は法面バケットを装着したバックホーを用いたが,これにより,礫材と砂材の運搬・敷き均し,締固めならびに整地(表面仕上げ)を効率的に行うことができた。特殊な手法や機材を用いないため,地元自治体でも当該貯蔵保管工法の実施が可能となる。盛土造成後の約10カ月にわたる土中水分の計測からは,野外条件下において,CB層が土中水分に対して安定した遮断機能を有することを確認できた。 重要性: CBは,古墳での適用例にみられるように,土中水分に対する優れた遮断機能をもち,かつその施工・建設に複雑な熟練を必要としないことから,行政的な判断があれば,大震災で出現した困難な課題の一つを効果的に解決できる道筋がみえてきたといえる。
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