2012 Fiscal Year Research-status Report
青果物の各種ストレス応答予測モデルの開発:修正Weibullモデルの適用
Project/Area Number |
24658214
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
椎名 武夫 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品工学研究領域, 上席研究員 (40353974)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | モデリング / ストレス / 青果物 |
Research Abstract |
青果物は収穫後の生物的、非生物的(物理的・化学的)なストレスによって、その品質変化に大きく影響を及ぼされる。しかし、これまで、ストレスの特徴の解析(質的・量的な評価)とその定式化はほとんど行われていない。 そこで本研究では、ストレスの種類とその大きさに対する、ストレス応答の量的、時間的変動パターンの違いを解析し、与えられたストレスの種類と大きさと、ストレス応答の質的・量的な関係について評価を実施することを目的とした。 まず、ストレス応答の絶対量の違いに対応できるように、2パラメータ型Weibull分布を修正した、複数の修正Weibull分布を開発した。 次に、既に得られている落下処理後の呼吸速度変化に対して、非線形最小自乗法によるフィッティングを行い、応答倍率を表すパラメータを追加した3パラメータ型Weibull分布修正の適合性が高いことを確認し、3つのパラメータを決定した。 さらに、数種青果物について、切断傷害、落下衝撃によるストレス関連遺伝子発現等の経時変化データを取得し、ストレス応答について、非線形最小自乗法により修正Weibull分布へのフィッティングを行い、その有効性確認、パラメーター決定を行った。 以上の研究により、青果物の各種ストレスへの応答特性について、一次ストレス、二次メッセンジャー、さらにそれに続くストレス応答因子等を包括的に数理モデル化可能であることが示唆されるとともに、ストレスを軽減し品質維持を図るためのコスト、環境負荷の視点からの効率的な物流手法開発のための方法論の構築に関して有益な知見が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の中心をなす修正Webullモデルが開発され、本モデルが収穫後青果物のストレス応答解析に有効であることが示された。
|
Strategy for Future Research Activity |
切断傷害、落下衝撃に加えて、温度変動、湿度変動、エチレン暴露などの他のストレス因子について、24年度に実施した解析と同様の解析を実施する。加えて、比較的短期の過渡的なストレス応答に加えて、その影響を受けた品質変化の原因となる指標を含めたデータを取得するとともに、修正Weibull分布へのフィッティングを行う。得られるパラメータを解析することで、比較的短期のストレス応答、および、その後の品質変化との関連の強い因子の応答について、質的、量的な評価を行う。さらに、比較的短期のストレス応答とその後の品質変化との関連付けのためのモデル構築を試みる。その際には、修正Weibull分布によりフィッティングされた指標項目に関する応答曲線について、相互の関連性を評価するために、位相差、相互相関係数などの特性値に基づく相関解析を併せて実施する。 最終的に、これらの情報に基づき、青果物のストレス応答に起因する品質変動をモデル化する方法について検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度研究費については、予定していた備品(リアルタイムPCR装置)の購入が不要になったため、予算に残額が生じた。リアルタイムPCR装置の購入が不要になった理由は、H24年度に入って、農研機構動物衛生研究所から使用予定のない装置の移管希望調査があり、その希望を出したところ移管が実現したためである。 H25年度は、H24年度に生じた研究費残額を有効活用して、当初計画に対して実験の種類、回数を増加させた試験研究を実施する。研究費は、実験に使用する青果物試料、実験試薬等の消耗品、研究成果の国内、海外の学会等における発表のための参加費・出張旅費、論文の英語校閲費、実験補助員の賃金等として使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)