2013 Fiscal Year Annual Research Report
北日本における時空間遠隔相関を適用した小麦の予測的リスク低減手法の創出
Project/Area Number |
24658215
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
廣田 知良 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター 生産環境研究領域, 上席研究員 (20343949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 学 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター 生産環境研究領域, 主任研究員 (10469843)
井上 聡 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター 生産環境研究領域, 主任研究員 (20354011)
菅野 洋光 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター生産環境研究領域, 上席研究員 (30355276)
濱嵜 孝弘 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター 生産環境研究領域, 主任研究員 (80442789)
西尾 善太 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター畑作研究領域, 主任研究員 (80446476)
下田 星児 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター畑作研究領域, 主任研究員 (80425587)
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Keywords | 小麦 / 長期予測 / 温暖化適応 |
Research Abstract |
本研究では、北海道を代表する畑作物である秋播き小麦を対象とし、夏の高温による減収被害に対して、長期予測に基づくリスク低減手法の探査を目的とした。 1998年以降、研究最終年度の2013年まで北海道を含む北日本では4月と8月の月平均気温は強い負の相関関係が続いている。この現象は亜熱帯ジェット気流の強弱と位置の変動が対になって起こることが原因と考えられる。すなわち、4月に低温をもたらす本州南岸の亜熱帯ジェット気流が強化されていると8月が高温になる。気温の逆転が「春低温で夏高温」だった場合、さらに低日照条件が加わると小麦の収量が減少することを、北海道の小麦の代表産地である十勝地方とオホーツク地方の比較解析から明らかにした。すなわち、春季の低温によって出穂前の生育期間が長くなり、小麦の植物体はより大きく生長して穎花数が増加する。続いて夏季が高温でかつ低日照になると、登熟期間が短縮し光合成量も制限されるため、子実へ転流される光合成産物の総量が減少し、穎花数の多さとあわせて子実一粒あたりの乾物量が減少するため小粒化(細麦化)する。その結果、整粒の割合が低下して経済収量が減少する。とくに、北海道内でも夏季に寡照な十勝地方でこの傾向が顕著である。一方、日照が多いオホーツク地方ではこの傾向は明瞭ではない。春季と夏季の気温の負の相関関係が継続するならば、春季が低温の年は、穎花数を減らすと同時に、出穂を早めて登熟期間の高温影響を低減させる子実の充実を目指す栽培管理が、細麦化への対策技術となる可能性を見いだした。具体的な栽培管理法として、施肥(追肥)の調整や、融雪促進が考えられる。土壌凍結も茎数に影響するので、穎花数を通して粒重に影響する可能性がある。さらに、夏季の日照あるいは降水量に関する長期予報の精度向上が、これら栽培管理による対策の効果をさらに向上させると考えられる。
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Research Products
(7 results)