2012 Fiscal Year Research-status Report
知的環境認識型ワイヤレスネットワークを用いた害獣検知と出没予測
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24658218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
杉浦 彰彦 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (40235867)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | WPAN / 環境認識 / 位置推定 / 知的 / 予測 / 獣害 / 猿 |
Research Abstract |
獣害対策を目的に、知的環境認識型ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)技術を用いて、猿の行動把握・出没予測を行う。知的環境認識のための「知」の獲得に向けて、猿の位置推定に環境認識型ネットワークを適用し、基礎データの収集を効率的に行う。本提案では、知的環境認識型WPANを現行の害獣検知無線方式(ARIB STD-T99)とリンクし、自動かつ低コストに位置推定を行う。これにより、追い払い等の侵入対策が効率的にできるようになる。さらに、出没情報を基に、知的環境認識理論を応用して、猿の行動予測を行うことで、信頼性の高い被害軽減システムへと発展させる。 初年度は、知的環境認識型ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク技術を用いて、猿の行動把握・出没予測を行うために、要素技術について基礎研究を進める。さらに、要素技術を有機的に結合させて、猿出没予測の可能性を探る。初年度の研究では、主にワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(ZigBee等)の親和性について検討する。具体的には、知的環境認識型ワイヤレスネットワークにZigBeeを適用するための基礎検討を行う。現行の獣害無線方式とWPAN方式をリンクさせたプロトタイプの作成を目標とする。具体的には、以下①~③の3項目について中心に実験を進める。 ①無線方式の代用として、例えば数十台の無線LAN(IEEE802.11系)を利用して、学内等でも実験できる環境を整備し実機実験を行い、WPAN方式の実働確認と問題点の洗い出しを行う。②プロトタイプとして実際の獣害無線とWPANを接続した専用機器を作成し、端末の位置推定を行う。③位置推定の結果を知的環境認識の理論に当てはめ、猿の行動の検知や予測を試みる。ここでの最低限の目標は、プロトタイプ端末の完成とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究では実験を遂行するために、以下の2点について中心に準備を進めた。両課題とも概ね準備が整ったため基礎実験を行った。一部、通信距離等の課題もあり、エリアが限定されたので、達成度は90%程度と考える。 ①端末器/測定器/管理用PCそれぞれで動作する専用のソフトウェアの開発 端末器(猿)は、自分が測定器の通信エリアに新たに入ると、自分のアドレス情報を送信する。この時、測定器(場所)毎に周波数(チャネル)が異なるので、端末器側では2つ以上の周波数で交互に動作する様に設定した。また、接近経路(方向)に応じて決まった順番で測定器(周波数)を通過するか確認し、本当の接近であることが確認されれば警報を出す。測定器側は、通過した端末器の情報に自端末の番号を付加して、人家側の測定器(PC)に転送する。この時、外側の測定器から転送されてきた通過端末情報も合わせて転送する。なお、これらの転送は、全て我々が提案している周波数分割多重を用いたマルチホップ方式を採用した。 ②ソフトウェアのZigBee開発キットへのインストールと実働実験 端末器と測定器の配分や間隔(距離)などを変化させ実験を行い、パケット誤り率や機器の負荷などを測定し、実用性について検討した。これらの実験結果を基に、一般的な集落を想定し、実際の獣害対策への適用について最適化シミュレーションを行い、実用上の問題点を探った。さらに、試験的にフィールド試験を行い、改良を進めた。フィールド試験の結果、シミュレーションでは見られなかった特異な現象が生じた場合には、ケーススタディとして個別の適用法について検討し、後に個別条件の分類について検証した。
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Strategy for Future Research Activity |
実用化に向けて残された技術的課題は、①通信距離や信頼性などの検証・改良、②乾電池で数ヶ月の運用を目指すために省電力モードについて検討、③実験では開発キットを利用するが、実用化に際しては猿に付ける端末サイズをマッチ箱程度にする必要があること、④実際に普及させるためには、端末1台の価格も千円程度にしなければならないことなどがある。こうした問題については、本試験後、共同研究通信メーカーと協力を図る。 まず、①通信距離・信頼性の問題を解消するために、今後の実験ではWPANの適用が難しい山間部においては、モバイルデータ回線などの適用について積極的に検討する。また、②電源確保の問題を解消するために、山間部でのAC電源確保についても検討する。例えば獣害対策の電気柵や農業用器材用の電源の活用について検討する。さらに、③開発キットの利用から汎用器材の組み合わせによるシステムの簡素化を進め、④コストなどの問題も同時に解決を目指す。 通信距離、運用エリアの問題を解消するために、モバイルデータ端末、モバイルデータ回線の整備に研究費を利用する予定であり。出来うる限り、これまでの器材を流用しつつ、ワイヤレス回線の安定性の向上を実現する。 初年度の研究では、主に位置推定(距離測定)について中心に性能の検証を進めたが、次年度では出没予測を念頭おいたアクセスポイントの敷設を行う。そのために来年度研究費を利用して、電源の確保や地理的ロケーションを優先した配置と実験を行う予定である。
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