2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24658220
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
杉山 純一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所 食品工学研究領域, 上席研究員 (20353972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔦 瑞樹 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所 食品工学研究領域, 主任研究員 (80425553)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 蛍光指紋 / 励起蛍光マトリクス / 産地判別 / 非破壊計測 |
Research Abstract |
国産品としてブランド化をすすめる宮崎産62サンプルと国内生産量1位の沖縄産60サンプルを、農協を通して購入した。また、輸入品として偽装前例のある台湾産56サンプルを空輸により直接購入した。生産者の違いが結果に影響を与えることを防ぐため、産地内の複数の生産者から試料を集めた。これらは産地の出荷基準に合致した熟度のものを数回に分けて入手し、到着後1週間以内に実験に供した。各マンゴーは水分の蒸散を避けるため新聞紙で包装し、冷蔵庫内に同一条件で保管した。 計測部位には果皮を用いた。赤道上の果皮に対して2通りの計測方法を行った。一つは、F7000専用の固体専用セルに試料を封入する方法で、計測面が石英板に押しつけられるため表面の凹凸が軽減される。もう一つの計測方法は、セルに封入せず直接計測する方法で、より簡便に計測できるため実用的に扱いやすい。以下、果皮(セル)、果皮(直接)と称する。 蛍光指紋計測にはF7000を用いた。励起波長・蛍光波長側のスリット幅と計測波長間隔はいずれも10 nmに設定し、計測範囲は励起波長・蛍光波長ともに最大波長範囲である200-900 nmとした。また、ホトマル電圧は400 V、スキャンスピードは30,000 nm/min、レスポンスは0.002 sに設定した。これらの条件で一回の計測に要する時間は約4分であった。 各波長条件における輝度値を説明変数、産地を目的変数として正準判別分析を行った。国の判別では、バリデーションの誤判別率が果皮(セル)では5.6 %、果皮(直接)では9.6 %と、十分に低い誤判別率が得られた。一方で、地域の判別の場合に比較的高い誤判別率を示した。選択された波長条件の数が果皮(セル)では4個、果皮(直接)では3個と少なかったために、十分に判別できるだけの情報が得られなかった可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた3箇所のマンゴーを、産地から直接購入できたことが大きい。特に、国内産に関しては、産地が協力的で、多くの生産者の試料を集めてくれたことにより、標本集団として適切なサンプルが得られたと考えられる。また、計測箇所においては、果肉、果皮とを分けて、データをとったことにより、明らかに果皮の方のが判別結果が良いことがわかった。実験では、内部品質が関連するかもしれないと想定し、糖度、果肉硬度等のデータも蓄積し、それら内部品質との相関も解析したが、結果的には、相関は低く、産地判別には使えない情報であった。逆に皮の情報は、生育期間における環境要因が反映されるために、判別が可能であったと推察される。 また、判別手法では、上記報告の正準相関分析だけではなく、PLSDA解析による判別も有効であることを確認している。また、サトイモに関しても、一部、予備試験を進めている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、年度変動の影響を検討する必要がある。 また、マンゴーだけではなく、他の農産物に対しても、産地判別の可能性を検討する。 具体的には、判別の需要が高いサトイモに関して、これまでの予備試験をもとに、国内産と中国産の判別を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は、交付金申請時の計画どおり使用する。なお、次年度使用額153,944円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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