2013 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞はなぜ筋肉内に脂肪組織を構築できるのか?-霜降り肉形成機構解明への挑戦-
Project/Area Number |
24658222
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西邑 隆徳 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10237729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保坂 善真 鳥取大学, 農学部, 准教授 (00337023)
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Keywords | 霜降り肉 / 筋肉内脂肪 / 脂肪細胞 / 筋肉内結合組織 / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
筋肉内脂肪(脂肪交雑)は食肉の品質を決定する重要な要素であるが,その形成メカニズムは未解明である。本研究では,筋肉内結合組織(IMCT)を基質とするin vitro脂肪細胞培養系ならびに筋肉内脂肪組織形成を誘発するin vivoモデル系を応用して、骨格筋における脂肪組織形成メカニズムを検討した。 IMCT基質に脂肪前駆細胞あるいは筋芽細胞を播種して培養したところ,両細胞ともに6時間以内にIMCT基質に接着していることが確認でき,また,分化誘導した結果,IMCT基質上で脂肪前駆細胞は成熟脂肪細胞に,筋芽細胞は筋管に分化し長期間培養した。脂肪細胞をIMCT上で長期間培養するとIMCTの微細構造に変化が見られ,脂肪細胞周辺では新たに構築された細胞外マトリックス(ECM)構造が見られた。 次に、in vivoモデル系を用いて骨格筋における脂肪組織構築様相を検討した。対照区のカルディオトキシン(CTX)注入骨格筋では筋線維が萎縮・分解し大きな間隙ができた後、再生筋線維が速やかに増え肥大化し、筋損傷部位の筋再生が完了したのに対して、グリセロール注入した場合は、筋線維の分解が緩慢で、CTX注入の場合に比べて間隙が少なかった。また、その後、筋細胞の再生よりも脂肪細胞による脂肪組織の新生が優位に起こった。また、細胞消化・SEMで観察すると、CTX注入筋では筋再生に伴って筋内膜の鞘構造が速やかに再生されているのに対して、グリセロール注入筋では、筋内膜の鞘構造が再形成されない部分があり、そこではコラーゲン細線維の疎な膜構造が見られた。 本研究で開発したin vitroおよびin vivoモデルは骨格筋内での脂肪組織形成時の結合組織リモデリング機構を追求するのに適したモデル実験系であり,今後,これらを用いた細胞組織学的アプローチによって筋肉内脂肪組織の形成メカニズムの全容解明が期待される。
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Research Products
(1 results)