2013 Fiscal Year Annual Research Report
トリコテセン系かび毒へのアンモニア暴露による生成物の特定と毒性の解明
Project/Area Number |
24658226
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
近藤 誠 三重大学, 生物資源学研究科, 助教 (50432175)
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Keywords | デオキシニバレノール / アンモニア処理 / 細胞毒性 |
Research Abstract |
トリコテセン骨格を有するデオキシニバレノール(DON)およびニバレノール(NIV)はFusarium graminearumが産生するカビ毒で,国内外の麦やトウモロコシなどの農産物や飼料で汚染が見つかっている。家畜に対しては採食量の低下、消化器系や免疫系に対する毒性があり、DONやNIVの発生量の把握と共に毒素産生の抑制方法や低減化が望まれる。DONおよびNIVの化学的安定性を検討した結果、アルカリ性条件下でHPLC分析によるピーク面積が減少することを見出した。とりわけDONに対して5%アンモニア水で反応させた場合、DONの残存率は6,12,24時間後に59,33,11%まで低下した。しかし、24時間反応後に中和した結果、DONのピーク面積は44%まで回復した。以上のことから、DONをアンモニアと24時間反応させた場合、DONはアルカリ性条件下では構造が変化するが、その変化には中和により回復する可逆的な反応と、回復しない不可逆的な反応が存在することが示された。さらに反応時間を3週間まで、いずれのpH条件下でもDONは検出されなかった。アンモニアと反応させたDONの毒性試験としてヒト前骨髄球白血病細胞HL60の増殖阻害活性を測定した。反応前のDON(1ug/mL)はHL60の増殖を88%阻害したのに対して、24時間後には55%阻害した。一方、3週間反応させたDONでは、阻害は全く見られなかった。これらの細胞増殖阻害活性はHPLC分析による残存率と類似していたことから、阻害活性はDONによるものであり、アンモニアによる反応で生成する新たな化合物には、DON同様の細胞毒性は見られないことが示唆された。
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