2012 Fiscal Year Research-status Report
放射性セシウムの牧草汚染の実態調査と畜産物への移行モデルの開発
Project/Area Number |
24658227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
廣岡 博之 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60192720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
築城 幹典 岩手大学, 農学部, 教授 (10292179)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 放牧地 / 空間分布 / 牧草 / 移行係数 |
Research Abstract |
第1に岩手県内にある比較的線量の高い牧草地において、地表面空間放射線量率の分布と動態を調査した。2011年度と比べて2012年度の空間放射線量率は、放射性セシウムの自然壊変による減衰予測値よりさらに2割近く低下しており、その理由として降雨時の流亡や土壌下層への垂直移動が考えられた。また、走行サーベイおよび歩行サーベイによる牧草地空間放射線量率の簡易推定法の検討も行った。第2に牧草地における土壌から牧草への放射性セシウムの移行係数を推定した。その結果、放射性セシウム濃度はイネ科牧草で700~1838Bq/kg FW、マメ科牧草で195~638Bq/kg FWであった。また、移行係数は前者で0.47~1.23、後者で0.13~0.43であった。第3に、土壌、牧草、家畜の放射性セシウムに関する国内外の研究成果を検索し、特に東京電力福島第一原子力発電所の事故で飛散した放射性セシウムの牧草や家畜への影響に関する研究報告の探索とそのデータ収集を実施した。代表者の廣岡は、11月17日に事務局をしている畜産システム研究会において、「畜産物放射能汚染の実態と低減化を考える」というシンポジウムを企画し、最初の解題を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由)放射性セシウムの降下による線量の比較的高い牧草地の特定するとともに、その牧草地での地表面空間放射線量率を測定し、あわせて牧草中放射性セシウム濃度や土壌から牧草への移行係数を推定することができた。また、多くの学会で発表し、関連する研究会へ参加した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまで収集したデータや情報をもとに、土壌、牧草、家畜の間の放射性セシウム移行と蓄積を予測するモデルを開発する予定である。対象としては、酪農と肉牛生産を想定してモデル化を行い、さまざまな除染や草地管理・飼養管理を仮定したときの放射性セシウムの移行と蓄積、糞尿として牧草地への還元量を予測し、問題解決の方法を探ることを考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
汚染飼料の給与停止および牧草地の除染対策により、当初想定していた給与飼料および畜産物の放射性セシウム動態調査が困難になった。次年度は、新たな調査地について検討するとともに、国内外の研究成果などモデル化に必要なデータを収集する。
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