2014 Fiscal Year Annual Research Report
放射性セシウムの牧草汚染の実態調査と畜産物への移行モデルの開発
Project/Area Number |
24658227
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
廣岡 博之 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60192720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
築城 幹典 岩手大学, 農学部, 教授 (10292179)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 放牧地 / モデル / シミュレーション / 移行係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、牧草地の土壌および植物体中の放射性セシウムの分布を調査し、分布パターンのモデル化を行うとともに、放射性セシウムの畜産物中濃度と糞尿による排泄量を予測するモデルを開発し、畜産物や堆肥の暫定基準値以下にコントロールするための方策の可能性を検討することであった。放牧草地における放射性セシウム動態モデルでは半減期の長い137Csのみを扱い、レベルとしては、土壌未吸着137Cs量、土壌吸着137Cs量、植生中137Cs量、リター中137Cs量、放牧牛中137Cs量、糞中137Cs量および尿中137Cs量の7つを取り上げた。土壌未吸着137Csから土壌吸着137Csへの移行に影響する要因としては、RIP(radiocesium interception potential、mol kg-1)を取り上げ、土壌に吸着した137Csと土壌溶液中の137Csとの分配係数と、土壌中交換性カリ含量から求めた。ウシのモデルでは、肥育期間に粗飼料の許容値の100Bq/kgの放射性セシウム汚染飼料が連続的に給与されたと仮定し、牛肉中の放射性セシウム濃度と生涯の累積放射性セシウム排泄量を予測した。移行係数として0.0385と食品の安全確保の観点から想定された上限値0.096 を採用した。いずれのケースも牛肉の制限値の100Bq/kgを大きく下回るものであったが、増体量を増やして肥育期間を短縮してもその効果は小さく、牛肉中の放射性セシウム濃度はわずかであるが増加する傾向が認められた。一方、累積放射性セシウム排泄量は、移行係数0.0385、出荷体重700kgで1日当たり約480Bqとなるが、肥育期間を短縮させることで約18%減少させられることが示唆された。
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