2013 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類卵の減数分裂制御に対するLTRトランスポゾンの関与の検討
Project/Area Number |
24658232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内藤 邦彦 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (20188858)
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Keywords | 応用動物 / 畜産学 / 卵成熟 / レトロトランスポゾン / MAEL |
Research Abstract |
本研究では寄生遺伝子と考えられているLTR-Teが哺乳類卵の減数分裂に寄与している可能性を探ることを目的とし、人為的にLTR-Teの量を変化させ、卵の減数分裂に起こる変化を調べることとした。そこで当初はLTR-Te抑制に関与するpiRNA合成系の因子であるPIWIの人為的変化を行ったが、予定通りのLTR-Teの変動を得ることができなかった。 そこで当初の予定を変更し、同じpiRNA合成系への関与が雄で示されているMaelstrom(MAEL)を用いることにし、既に昨年度にMAELのクローニングは終了し、遺伝子バンクに登録されている配列と1塩基異なることを見出している。本年度は哺乳類卵における存在、変動、局在等の結果に加え、MAELのmRNAとアンチセンスRNAを in vitro合成し、ブタ卵への注入実験を行い、減数分裂進行に対する作用を調べた。 その結果、mRNAは減数分裂を通して存在し、タンパク質は減数分裂の進行に伴い発現が減少することが判明した。また、ブタ卵母細胞のMAELはブタ精巣のMAELと分子量が異なることがわかった。次にMAELの発現阻害および過剰発現により機能解析を行った。核相観察の結果、減数分裂の進行は影響を受けていなかった。また、MAELを過剰発現させた卵母細胞の紡錘体を確認したが、微小管に変化はなかった。MAEL抗体による卵母細胞の内因性MAEL局在は検出が困難であったため、FLAGタグを付加したMAELを発現し局在を確認したところ、細胞質全体に存在しgranule状に局在してはいなかった。 以上より、ブタ卵母細胞にMAELは存在し、減数分裂の進行に伴い発現が低下すること、ブタの卵母細胞と精巣のMAELは分子量が異なることから、ブタのMAELにはisoformが存在することが示唆された。しかし、MAEL発現抑制や過剰発現は減数分裂や微小管に影響を与えなかったこと、またgranule状に局在していないことから、卵母細胞内でMAELはgerm granuleの構成因子として機能している可能性は低いと考えられた。
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