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2012 Fiscal Year Research-status Report

母性mRNAによる哺乳類初期胚の分化調節機構について

Research Project

Project/Area Number 24658244
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

青木 不学  東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (20175160)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords初期発生 / 初期胚 / 卵 / 母性mRNA / 細胞分化
Research Abstract

本研究では、「2~4細胞期の胚で割球間に均等に分配されない母性mRNAが存在し、それが割球間の性質の違いを生み、その後の細胞分化に影響を及ぼす」という仮説のもとに、このような母性mRNAを同定するための実験を以下のように計画した。
①生後12日目のマウスから卵胞を回収し、成長期卵にBrUTPを顕微注入し、新たに合成されたmRNAにBrUを取り込ませる。②BrUTPを顕微注入した卵をin vitroで培養し卵成長を促す。その後卵成熟を誘導し、体外受精を行い、2細胞あるいは4細胞期までの培養を行う。③2細胞あるいは4細胞期胚の各割球をバラバラにし、割球ごとに全RNAの抽出を行う。④抗BrU抗体を用いた免疫沈降法により、全RNAのサンプルからBrUを取り込んだ母性mRNAを抽出する。⑤得られた母性mRNAについてマイクロアレイを行い、各割球間で発現量(残存量)に差のある遺伝子を細胞分化調節因子の候補とする。
以上のような計画のもとに、まず生後12日目のマウスから得られた成長期卵にBrUTPを顕微注入し、その後のin vitroでの成長、卵成熟そして受精後の初期発生の進行を調べたところ、BrUTPの顕微注入は卵成長及び卵成熟にやや悪影響を及ぼすことが明らかとなった。また、この傾向は顕微注入を行う時期を生後15日に変更しても改善されることはなかった。さらに、受精後の2細胞、4細胞そして桑実期におけるBrUの残存量を抗BrU抗体で調べたところ、いずれの時期においても顕微注入を行っていないコントロール胚と有意な差が認められなかった。
一方、初期胚の遺伝子発現をRNAシーケンスによって網羅的に解析するプロジェクトを現在行っており、その予備的実験で各遺伝子のmRNA量の変化を正確に知ることができることがわかった。そこで、この実験系を用いて目的の母性mRNAの同定が可能であると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初予定していたBrUTPの取り込みによる分化調節に関与する母性mRNAの同定は、「研究実績の概要」欄に示したように実施が困難であることが明らかとなった。しかし、一方でRNAシーケンスを行うことで母性mRNAの同定が行える可能性が示された(その具体的内容は「今後の研究の推進方策」の項で記す)。

Strategy for Future Research Activity

RNAシーケンスのデータ解析によって分化調節に関与する母性mRNAの同定を試みる。まず、母性mRNAとして初期発生過程の分化調節に関わるという条件から、卵特異的に発現する遺伝子ということが前提条件となる。このような遺伝子の中からその転写産物が4細胞期あるいは8~16細胞期まで残存するものをRNAシーケンスのデータを用いて抽出する。すなわち、母性mRNAは減数分裂開始後から分解が始まり、その大部分は2細胞後期にほとんど消失する。上述したように目的の候補遺伝子は卵特異的なものであることから、受精後の発現はなく、卵特異的遺伝子のmRNA量は減少の一途を辿るのであるが、候補遺伝子はその減少が遅いことが期待される。このようにして候補遺伝子が絞られた後、各割球でのその発現量をRT-PCRで調べ、各割球間で発現量が異なる遺伝子を探索し、その機能解析を試みる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

「研究実績」の項で記したように、BrU取り込み実験が不十分な結果となったことにより、当初の計画にあった研究費用を少ない費用で済ませることができた。しかし、2013年度では当初の計画に加えてRNAシーケンスを行うことで当初の計画よりも多額の費用がかかるため、2012年度に残存した金額をこれに充当することで研究を遂行したい。尚、成長期卵、成長卵および各初期発生過程の胚についてすべてRNAシーケンスを行うことは、本研究費だけでは賄うことができないが、すでに他のプロジェクトで上記のサンプルの一部についてRNAシーケンスを実行済みあるいは実行中であることから、そこから漏れたサンプルについてのみ本研究費を用いてRNAシーケンスを行えばよいという状況となっている。

URL: 

Published: 2014-07-24  

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