2012 Fiscal Year Research-status Report
ニワトリ生殖系列幹細胞で発現する遺伝子のエピジェネティック解析
Project/Area Number |
24658246
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
服部 真彰 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60175536)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 国際情報交換 / フランス |
Research Abstract |
本研究では,ニワトリの配偶子形成と生殖系列幹細胞に特異的な遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化の関係を解明することを目的としている。本年度は生殖細胞の分化の最終ステージである精子と体細胞である肝臓からそれぞれゲノムDNAを抽出し,バイサルファイト処理を行った後に大腸菌を用いたサブクローニング,シークエンス解析を行った。本研究で解析する遺伝子として生殖細胞特異的に発現するvasa,dnd,dazlを候補として実験を進めている。各遺伝子の転写開始点上流500bpをカバーするプライマーを設計し,その領域内に存在するシトシン-ホスホジエステル結合-グアニンサイト(CpGサイト)の数を調べたところ,vasaは1箇所,dndとdazlにおいてはそれぞれ30箇所と28箇所のCpGサイトが確認された。メチル化の様式は細胞単位で異なるとされているため,サブクローニングにより12個のクローンを作製し,各クローンにおけるメチル化CpGサイト数の平均値をメチル化割合とした。その結果,vasa,dnd,dazlの転写開始点上流域におけるメチル化割合は精子においてそれぞれ33%,13%,1%と低かった一方で,肝臓においてはそれぞれ75%,81%,85%と高い割合を示した。このことは肝臓において生殖細胞特異的遺伝子の転写がメチル化による抑制を受けていることを示唆している。一方で,精子においては各タンパク質の発現が低下していることからそれらをコードする遺伝子の転写が抑制されるという仮説に反する結果が得られた。この結果から,精子においては遺伝子が転写後に翻訳されずmRNAの状態で貯蔵されていることが考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度計画として、低メチル化状態と思われるPGCおよび成熟雄の精原細胞,孵化直後の卵母細胞,高メチル化状態と思われる成熟ニワトリの精子・卵子から精製したゲノムDNA,および比較のために体細胞(脳,肝)から精製したゲノムDNAを用いて,対象とする遺伝子プロモーター領域(あるいは転写開始点上流域)のメチル化状態の判定を行うことを予定していた。このうち、成熟ニワトリの精子および体細胞(肝)からのDNAのプロモータ領域の解析は終了しており、今年度中に成果を取りまとめて国際誌に投稿する予定である。25年度からは、引き続き残りの解析を予定している。このような進行状況から順調に進展していると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
受精卵(Stage X)の胚盤葉の細胞培養によって形成されたPGCコロニーからPGCを分離(FACSで精製),さらに胚性腺フィーダー細胞系で培養したPGCから精製したゲノムDNAを用いて,遺伝子プロモーター領域(あるいは転写開始点上流域)のメチル化状態の判定を行う.生殖細胞の精製をパコール法としていたが、研究環境が改善されたので、FACSで精製に切り替え、精製度を上げた方法で進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
生殖細胞の精製をパコール法からFACSで精製に切り替えることにより、発生した経費に充てる。研究内容の変更はないが、生殖細胞の精製法の変更のみである。
|