2012 Fiscal Year Research-status Report
新たに発見したNU1およびNU2ペプチドの生理機能の探索
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24658247
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
村上 昇 宮崎大学, 農学部, 教授 (80150192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 哲郎 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 准教授 (30264352)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 新規ペプチド / ニューロメジンU / ニューロメジンS / 概日リズム / 摂食 / 体温 |
Research Abstract |
われわれは、2000年にニューロメジンU(NMU)が強力な摂食抑制作用を有するとともに、体温上昇、血圧上昇、酸素消費量の増加を誘起することを見出した。その後、NMUと受容体を共有するニューロメジンS(NMS)を発見し、NMUと同様に摂食行動を抑制し、自律神経系を介して血圧や体温などの調節に係ることを示した。最近、NMUとNMSの前駆体に、NMU/NMSとは異なるホルモン様配列が含まれており、プロセシングの過程で別個のホルモン(それぞれNU1、NU2と仮称する)として切り出されてくることを発見した。しかし、その生理活性は未だ不明であることから、その生理作用の解明を行った。まず、アミノ酸配列を見てみると、NU1、NU2はNMUやNMSとの相同性が非常に低かったことからNMU/NMS受容体と結合するとは考えにくく、NMUやNMSとは異なる機能を有する可能性がある事が判明した。また、NU1、2のラット側脳室への投与が摂食量や体温、概日リズムに影響を及ぼすこと、また、その効果はNMU、NMSの生理作用と必ずしも一致しないことを明らかにした。さらに、放射性同位体で標識したペプチドを用いて、ラット脳におけるNU1、2の結合部位を探索したところ、NMU受容体の存在する領域とは異なる、ある脳領域に特異的に結合することが明らかとなった。 以上の結果、新規ペプチドNU1とNU2が特異的な生理活性を有しており、その作用機序はNMU、NMSとは異なる受容体を介したものである可能性があること示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成24年度は第1にNU1とNU2の生理機能の解析を行い、第2に作用部位や作用機序の解析を行う事になっていた。結果的に、第1については、NU1、2のラット側脳室への投与が摂食量や体温、概日リズムに影響を及ぼすこと、また、その効果はNMU、NMSの生理作用と必ずしも一致しないことを明らかにした。また、第2の点については、放射性同位体で標識したペプチドを用いて、ラット脳におけるNU1、2の結合部位を探索したところ、NMU受容体の存在する領域とは異なる、ある脳領域に特異的に結合することが明らかとなった。以上の事から、これら2つの新規ペプチドの作用や作用機序の一部が解明されたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究を継続しつつ、下記の2点の項目を追加する。 (1)作用機序の解明:NU1とNU2の中枢投与による神経様作用が、ムスカリン受容体拮抗薬のメチルスコポラミンの前投与、あるいは非選択性βアドレナリン受容体拮抗薬のチモールの前投与によって阻止されるのか否かを検討する。側脳室にステンレスチューブを装着したラットを用いて、メチルスコポラミンあるいはチモールを末梢投与し、投与20分後にNU1とNU2を側脳室投与する。投与後、経時的に体温、血圧、心拍数を測定する。一方で、それぞれの効果についての作用機序の解明を行う。例えば体温の上昇作用については、NU1とNU2投与後に褐色脂肪を取りだし、β3アドレナリン受容体やUCP1のmRNA発現量を調べ、褐色脂肪の熱生産が原因であるのか否かなどを検討する。摂食亢進作用については、投与後の視床下部においてNPY, Agrp, hypocretin, POMC, CART, MCH, CRHなど摂食関連ペプチドのmRNA発現をリアルタイムPCRで測定する。 (2)局在部位の解明:前駆体からMU1とNU2とニューロメジンUあるいはSが切り出される(プロセッシングを受ける)場合に、神経核に特異的に切り出す可能性がある。そのためニューロメジンUとNU1あるいはニューロメジンSとNU2が必ずしも同じ組織で発現しているとは限らない。そこで、神経核をパンチアウトし、それぞれのmRNA発現量を測定する。また抗体による免疫染色で局在部位を検索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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