2014 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ種卵の発生停止と再開機構の分子メカニズムの解明
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24658250
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
中尾 暢宏 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 講師 (60377794)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ニワトリ種卵 / 貯卵 / 発生停止 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの子孫を残すために動物が獲得した種卵の保存機構(貯卵)は、よく分かっていない生命現象でその詳細な分子メカニズムは不明である。そこで本研究では、ニワトリ種卵の貯卵機構に着目し種卵の発生停止と再開機構を明らかにするために、まずニワトリ種卵の発生停止と再開が孵卵9日目(ステージ35)までの全てのステージで人為的コントロールが出来る事を明らかにした。そこで、ニワトリ種卵の発生停止と再開に関わるシステム因子を単離するために、孵卵8日目の種卵に低温刺激(15℃、湿度75%)と孵卵刺激(37.5℃、湿度75%)を与え発生停止と再開の処理を行った際の経時的な種卵の心臓を用いて網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、発現様式から6のグループに分類できる148個の遺伝子が経時的に発現変動していた。これらの遺伝子の中には、オントロジー解析により細胞周期に関与する遺伝子が含まれていたことから、孵卵8日目の肝臓初代培養細胞に低温刺激と孵卵刺激を与えたところ、低温刺激は細胞周期をG0期/G1期に移行させ細胞増殖を停止させていることが明らかになった。さらに細胞周期に関与する遺伝子(13個)について低温刺激と孵卵刺激を与えた孵卵8日目の心臓と肝臓および肝臓初代培養細胞における経時的な遺伝子発現様式を比較解析したところ、2遺伝子がニワトリ種卵の発生停止と再開機構に関与する遺伝子であることが推察された。さらに細胞周期の調節は、タンパク質のリン酸化、脱リン酸化が重要な役割を持つことから、低温刺激と孵卵刺激を与えた際の経時的なリン酸化タンパク質について検討を行ったところ、経時的にリン酸化されるタンパク質が存在していた。これらのことから、ニワトリ種卵の発生停止と再開機構には、細胞周期に関わる遺伝子の発現調節と孵卵期間初期の修飾タンパク質が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)