2013 Fiscal Year Research-status Report
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24658269
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
永延 清和 宮崎大学, 農学部, 教授 (40264353)
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Keywords | ウサギ / 角膜 / 獣医 |
Research Abstract |
ウサギを全身麻酔した後、直径5 mmの角膜上皮および部分的角膜実質欠損モデルを作成し、その部分に直径5 mmの豚膀胱由来細胞外マトリックス製品を縫合し移植した。移植から3日後、1週間後、2週間後、12週間後、16週間後に組織学的評価を行った。3日後と1週間後の組織標本では角膜上皮細胞が移植片の表面を覆いかつ実質細胞が移植片内に侵入したものと、角膜上皮細胞が移植片の実質側で角膜実質の表面を覆ったものとが認められた。2週目の組織標本では上皮は移植片の表面を完全に覆っていた。したがって、角膜上皮細胞が移植片上を覆いかつ実質細胞が移植片内に侵入して角膜が治癒する場合と、角膜上皮細胞が移植片の下で角膜実質の表面を覆い、この下で実質細胞が再生していく場合の2つのパターンがあると考えられた。一方、2週間を超えて観察する予定だった5匹中3匹では、移植片が次第に溶けていき、3日目と4日目に消失した。移植片が残存した個体では移植後の時間が経過するにつれて、角膜の透明性は亢進した。12週目と16週目の組織標本では角膜には上皮、実質、内皮の3層構造を認めた。以上より移植片が早期に脱落する例があるため、今回用いた材質を角膜実質欠損部に埋め込み縫合する方法は、欠損部を補填する目的では安定性に欠けると思われた。また、角膜上皮が移植片の下(角膜側)で再生した場合は、移植片は角膜欠損部を物理的に保護しているだけである可能性があり、移植片の存在により角膜の再生が促進されるかは不明である。さらに他の材質を開発する目的でレーザーを用いて小孔を作成した豚角膜(摘出眼)を組織学的に評価した。低出力の場合は角膜に著しい損傷は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットやウサギを用いた実験からこれまで用いてきた材質を角膜実質欠損部に埋め込んだ場合、角膜実質細胞再生の足場として機能し得る場合と、単に物理的に欠損部を保護している場合との両方の可能性が出てきた。後者のみの効果の場合は治療用コンタクトレンズ等と類似の作用とも考えられる。また、移植後早期に脱落した例が半数程度で認められ効果の安定性に欠けると思われた。このため犬を用いた実験には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにレーザーを用いて小孔を作成した豚角膜(摘出眼)を組織学的に評価し、低出力の場合は角膜に著しい損傷を認めていない。しかし小孔の深さが不十分なため、今後出力を上げた場合の角膜への影響を組織学的に評価する。また、グリセリンに保存した角膜の使用がヒトや動物で報告されているため、この小孔がグリセリンに保存した角膜にも作成可能かを評価する。適切な小孔が作成できた後まずラットやウサギに移植し、さらにイヌへの応用を試みる。
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