2012 Fiscal Year Annual Research Report
土の硬さで植物のアルミニウムストレスを緩和できるか?
Project/Area Number |
24658274
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
矢野 勝也 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (00283424)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ムシレージ / アルミニウムストレス / 根端粘液 / トウモロコシ |
Research Abstract |
本研究は、1)根に対する物理的刺激の有無で根端粘液物質(ムシレージ)の分泌量が変化するか、2)その変化が根端へのアルミニウム集積に影響を与えるか、3)その結果植物のアルミニウムストレスが軽減されるか、を明らかにすることを目的とした。根に対する物理的刺激の大小を創出するために、水耕・砂耕条件下でトウモロコシを育成した。根端当たりのムシレージ分泌量およびムシレージ分泌能を有する根端数の割合のいずれも、水耕よりも砂耕条件のトウモロコシで高かった。この結果は、根に対する物理的刺激が大きい砂耕条件でムシレージ分泌活性が増加したことを示している。水耕・砂耕条件下のトウモロコシにAlCl3を供与すると、水耕では10 uM濃度でストレスを誘導できたのに対して、砂耕ではその100倍の1000 uM以上の濃度が必要であった。つまり、水耕に比べて砂耕ではトウモロコシのアルミニウム耐性が向上(感受性が低下)したことになる。水耕・砂耕条件下で成長した根端を採取し、ムシレージを付着した根端と付着しない根端に分け、さらに前者の根端からムシレージを除去した根端の3つに分類した。それぞれの根端に1000 uMのAlCl3を供与してアルミニウム集積を比較した結果、もともとムシレージを付着していなかった根端で高い集積を確認できた。ただし、もともとムシレージを付着していた根端にムシレージ除去処理をしてもアルミニウム集積に変化は生じなかった。この原因を調べるために、ムシレージ除去根端がムシレージを再分泌する様子を連続的に観測した。その結果、除去後5分以内にムシレージの再分泌を確認することができた。おそらくこの素早いムシレージの回復のために、ムシレージ除去処理の有無がアルミニウム集積に影響を与えなかったと推察される。
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