2013 Fiscal Year Research-status Report
難分解性有機ハロゲン化合物汚染環境を修復する生体触媒の開発
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24658275
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 教授 (70243087)
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Keywords | 酵素 / 応用微生物 / 有機ハロゲン化合物 / デハロゲナーゼ |
Research Abstract |
(1) Methylobacterium sp. CPA1 由来の DL-2-ハロ酸デハロゲナーゼの触媒反応機構を解析した。D194N 変異型酵素と、基質アナログである 2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸の複合体の X 線結晶構造解析、モデリング実験、および野生型酵素に見られた同位体効果の解析に基づき、触媒反応機構の解析を行った。その結果、本酵素には基質結合部位が 2 箇所有り、そのうちの 1 箇所に基質が結合した後、もう 1 箇所の結合部位に基質が移動し、その第 2 の基質結合部位において脱ハロゲン反応が進行することが示唆された。第 1 の基質結合部位では、Trp37 の側鎖 NH、Phe40 および Asp194 の主鎖 NH、Ser193 の側鎖 OH が基質のカルボキシ基と水素結合を形成するものと考えられた。一方、第2の基質結合部位、すなわち活性部位においては、Arg272 が基質のカルボキシ基と水素結合を形成するものと考えられた。 (2) 2-クロロアクリル酸の水和的脱ハロゲン反応を触媒する 2-ハロアクリル酸ヒドラターゼの反応機構解析や構造解析に供するための、本酵素の高発現を試みた。Burkholderia sp. WS 由来の酵素と Pseudomonas sp. YL 由来の酵素について、Escherichia coli を宿主とした発現系を構築した結果、後者について、より高い生産量が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DL-2-ハロ酸の炭素-ハロゲン結合の切断を触媒する DL-2-ハロ酸デハロゲナーゼに関しては、基質アナログとの複合体の X 線結晶構造解析などに基づいて詳細な反応機構の理解が進み、計画以上の進展があったが、もう一方の不飽和脂肪族有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン反応に関しては、関与する酵素の調製法について進展があったものの、構造や反応機構の解明が今後の課題として残されている。以上の状況から、全体として「おおむね順調に進展している」と評価するのが妥当と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2-ハロアクリル酸ヒドラターゼの精製、触媒反応機構解析、構造解析を重点的に行う。また、本酵素、および本酵素と同様の基質に作用するが異なる生成物をあたえる 2-ハロアクリル酸レダクターゼについて、これらの酵素の遺伝子を含む遺伝子クラスターを解析し、これらの酵素とともにハロゲン化合物の代謝に関与するタンパク質群を同定し、それらの機能を明らかにすることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究対象としている酵素の調製法確立に予想以上の時間を要したため、酵素の構造機能解析を次年度に行うこととしたため次年度使用額が生じた。 酵素の構造機能解析用消耗品の購入および研究成果発表に必要な経費として使用する計画である。
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Research Products
(1 results)