2014 Fiscal Year Annual Research Report
難分解性有機ハロゲン化合物汚染環境を修復する生体触媒の開発
Project/Area Number |
24658275
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 教授 (70243087)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 酵素 / 応用微生物 / 有機ハロゲン化合物 / デハロゲナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
Pseudomonas sp. YL が生産する 2-ハロアクリル酸ヒドラターゼは、還元型フラビン (FADH2) 依存的な 2-クロロアクリル酸への水付加反応を触媒する。これにより生成した 2-クロロ-2-ヒドロキシプロピオン酸から塩化水素が自発的に脱離してピルビン酸が生成する。本酵素反応は難分解性有機ハロゲン化合物の分解系として注目されるほか、一般的に酸化還元反応の補酵素として機能するフラビンが水和反応に要求される点で酵素化学的にも興味深い。本研究では、本酵素によるユニークな脱ハロゲン反応の触媒機構の詳細を明らかにするため、結晶構造解析に向けた条件検討を行った。まず、本酵素を高生産する組換え型大腸菌から DEAE-Toyopearl 650M と Butyl-Toyopearl 650M のカラムクロマトグラフィーにより精製タンパク質を調製した。精製には 60 mM KPB (pH 7.1) を緩衝液として用いたが、結晶化の際、緩衝液中のリン酸が沈殿剤と反応し、不溶性のリン酸塩が生じる可能性があるため、緩衝液を 20 mM HEPES (pH 7.1) に交換した。緩衝液交換前後のタンパク質溶液の粒径分布を動的光散乱法により測定した。0.02 μm 径のフィルターを用いて夾雑物を除去し、多分散度を測定した結果、緩衝液を交換することで、試料の多分散度が 35% から 22% に改善したことがわかった。以上の結果をふまえ、20 mM HEPES (pH 7.1) に交換したタンパク質溶液を濾過し、結晶化実験に用いることとした。結晶化条件の検討にはスクリーニングキット (Index HT) を用いた。192 種の異なる条件下で、シッティングドロップ蒸気拡散法により20 ℃で結晶を成長させた。その結果、沈殿剤として 0.15 M DL-Malic acid (pH 7.0)、20% w/v Polyethylene glycol 3,350 を用いた条件下で針状結晶が得られた。得られた結晶は Izit Crystal Dye で青く染色されたことから目的タンパク質の結晶である可能性が高いと考えられた。
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