2012 Fiscal Year Research-status Report
TALEを利用した配列特異的な遺伝子発現抑制法及び欠失変異導入法の確立
Project/Area Number |
24658283
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹田 篤史 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (60560779)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アラビドプシス / ゲノム改変 / TALE / TALEN / TALER |
Research Abstract |
近年開発されたTALEN (Transcription activator-like effector nuclease)は植物ゲノム上での配列特異的な遺伝子破壊を可能にした。しかし、既存の系は細菌由来のTALEを大きく改変することなく利用されており、植物での発現に最適化されていない。そこで、本研究では、植物での発現に適したTALE系を構築することで、植物での安定的なTALEの発現を目指している。平成24年度には、モデル植物のアラビドプシスのコドン頻度に合わせて最適化したTALEベクター骨格とRepeat-variable di-residue (RVD)シリーズを構築した。TALEベクター骨格に関しては、植物体内でのTALE発現量を増加させるためにイントロンの挿入を行い、クローニング時のバックグラウンドを下げるためにccdB遺伝子を挿入する工夫を行った。RVDシリーズに関しては、タイプIIS制限酵素の一種であるBsmBIによる切断後の末端にパリンドロームが生じないように工夫することで、同時に10個のRVDを効率よくGolden gate cloningできるようになった。また、6番目と10番目のRVDについては、異なったコドンを使用した複数のRVDシリーズを作成することで、TALE完成後でもリピート領域全体をシークエンス出来るようにした。さらに、本研究課題の申請段階では報告されていなかったGを特異的に認識するNH-RVDも作成した。以上の工夫を加えた結果、植物での発現を目的としたTALENおよびTALE Repressor (TALER)を効率よく作成出来る系の構築をほぼ完了した。この系は、近い将来、植物での遺伝子破壊に広く用いられる有用な系になると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)RVDの末端に生じるパリンドロームの解消、(2)TALENおよびTALER作成後に全長をシークエンスするための工夫、(3)TALENおよびTALERをDNAとして植物細胞の核内に導入した際に、これらのmRNAを効率よく核外に輸送させるためのイントロンの挿入、(4)クローニングの際にバックグラウンドを下げるためのccdBの挿入、(5)Gを特異的に認識するNH-RVDの構築など、申請段階では気づいていなかった点や新たに報告された知見なども加えてTALE作成系を構築した。その結果、単にコドン頻度をアラビドプシスに合わせただけではなく、申請計画を超えてより実用的な系が出来上がった。一年目の申請計画の期間内で、申請計画以上のものが出来上がったので、当初の計画以上に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には申請書の年次計画に従って研究を進める。具体的には、(1)Nicotiana benthamianaにおけるTALER活性の確認、(2)Nicotiana benthamianaにおけるプロモーター領域とTALER活性との関係の調査、(3)TALER発現遺伝子組み換えアラビドプシスの作成とその組み換え体の解析、(4)Nicotiana benthamianaにおけるTALEN活性の確認、(5)TALEN発現遺伝子組み換えアラビドプシスの作成を順次進めていく。これらに加えて、Nicotiana benthamianaにおいてTALENを用いた遺伝子破壊系の構築も進めていく計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度より、立命館大学生命科学部の准教授に着任した。本実験を進めるために必須であるオートクレーブを1台新たに購入する。植物を育てる育成棚が不足しているため、新たに1台設置する計画である。TALENおよびTALER作製のために、PCR用酵素、制限酵素、アルカリフォスファターゼ、DNAリガーゼ、大腸菌のコンピテントセル、プラスミド抽出キット等を購入する。コンストラクトが正しく出来たかどうかを確認するために外注でシークエンス解析を行う。TALERの機能評価のために、Dual-luciferase アッセイ用試薬を購入する。また、成果発表のために植物病理学会、植物生理学会および分子生物学会に参加する予定である。
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Research Products
(5 results)