2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24658289
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
鍵和田 聡 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (40281662)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 微生物 / 炭化水素 / バイオテクノロジー / 酵母 |
Research Abstract |
緑藻Botryococcus braunii(B. braunii)は光合成によりボトリオコッセンとよばれる炭化水素を合成し分泌するが、その最大の特徴である炭化水素分泌機構については不明である。この研究では、B. brauniiの遺伝子を導入し、ボトリオコッセンを合成・分泌できる出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeの作製を目標とする。本研究成果を応用すれば、工業的に利用しやすい炭化水素を光エネルギーと二酸化炭素を用いて高い効率で分泌する生物の作出が期待できる。 本年度は(1)ボトリオコッセン合成酵母の作製(2)B. braunii遺伝子を挿入した酵母発現ベクターの作製を計画した。(1)については、ボトリオコッセン合成に関わる3つの遺伝子(SSL1-3)を酵母に挿入し、それらが正常に発現することを、新たに作製したポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロッティング法で確認した。つづいて蛍光タンパク質であるGFPおよびmCherryを付加したボトリオコッセン合成酵素の発現を行い、それらの細胞内局在を観察した。その結果、SSL1-3がいずれも酵母細胞でも小胞体にターゲティングできることを発見した。 (2)については計画をやや変更した。これまでの研究から脂質分泌に関わるタンパク質はABCトランスポーターファミリーに属するタンパク質である可能性がある。そのため遺伝子ライブラリーの作製を行うよりもまずこれらのタンパク質の大量発現がボトリオコッセン合成酵母からのボトリオコッセン分泌に関わる可能性を考え、現在必要な遺伝子のクローニングを行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ボトリオコッセン合成に関わる遺伝子を酵母に導入し、それらの発現および局在を調べることには成功するなどおおむね順調であるが、これらを発現した細胞が真にボトリオコッセンを分泌するかについては確証を得ていない。その原因の一つは酵母においてエルゴステロール合成に関わる遺伝子であるERG9の破壊株を計画した方法で作製できていないことがある。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ボトリオコッセン合成酵素導入酵母での脂質合成・蓄積過程の解析:最終的にボトリオコッセンを分泌する能力を獲得する酵母を得るためには、酵母細胞内でボトリオコッセンがどこで合成されどこに蓄積するかを調べておく必要がある。そこで、蛍光顕微鏡や電子顕微鏡を用いた観察で脂質の蓄積場所を、質量分析等で脂質量の定量的変化を解析する。 (2)ボトリオコッセン分泌酵母の単離:最大の目的であるボトリオコッセン分泌酵母の単離に向け、ABCトランスポーター遺伝子の導入や変異株取得などの方法を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)