2013 Fiscal Year Annual Research Report
動物細胞内での遺伝子増幅速度を支配する分子機構と、その活用
Project/Area Number |
24658290
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
清水 典明 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (10216096)
|
Keywords | 遺伝子増幅 / 細胞がん化 / 組換え蛋白質生産 / 複製開始配列 / 核マトリックス結合領域 / IR/MAR / 染色体外遺伝因子 |
Research Abstract |
2年間の研究期間の間に、当初計画を超える大きな成果が挙がった。すなわち、当初計画通り本研究では、哺乳動物複製開始配列(IR)と核マトリックス結合配列(MAR)が、methotrexate (Mtx)により誘導されるヌクレオチド欠乏に起因する複製ストレス存在下でのよく知られた遺伝子増幅現象を、どのように加速するかを検討した。その結果、IRとMAR配列を持つプラスミドを細胞に導入すると、初期に染色体外で多量体化して一定期間維持されるために、プラスミドの比較的大きな反復配列となり、それが染色体上の多数の場所に挿入されることが明確となった。その結果、染色体の脆弱部位に近接する確率が高くなり、breakege-fusion-bridge cycleにより伸長して長大なhomogeneously staining region(HSR)を形成する確率が高くなることが示唆された。さらに、ヒストンアセチル化された染色体領域に組み込まれる確率が高くなるために、高い発現を示すようになることが示唆された。一方、文献上、正常な細胞であってでも染色体腕から染色体外遺伝因子が切り出されることは、最近益々明確となり、注目されるようになってきた。そのような染色体外遺伝因子は、一定の確率でIR/MAR配列を持つはずであり、それが複製ストレス存在下で増幅することは極めて自然な過程である。したがって、本研究により明確にされた遺伝子増幅機構は、発がん過程での遺伝子増幅現象を、従来の機構より踏み込んで明確に出来たと考えられる。さらに、IR/MAR配列を、Mtxによる遺伝子増幅と組みあわせる方法は、組換え蛋白質医薬品の製造として極めて有効であることを我々は以前示したが、その機構を本研究で明確にすることが出来た。本成果は現在、英文査読誌に投稿中である。
|
Research Products
(7 results)