2014 Fiscal Year Annual Research Report
イネの分げつ数を決める糖代謝遺伝子の解析と分げつ制御機構の解明
Project/Area Number |
24658293
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
島田 浩章 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (70281748)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イネ / 分げつ / 糖代謝 / 形質転換体 / バイオマス生産 / シンク機能 / 側芽形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
分げつの欠如の表現型を示すイネのmoc2変異の原因遺伝子は糖代謝の重要な酵素であるフラクトース・ビスリン酸化酵素遺伝子の変異であった。そこで正常なフラクトース・ビスリン酸化酵素遺伝子を過剰発現させる形質転換体を作成したところ、この表現型を緩和し、分げつ数が増加することがわかった。 フラクトース・ビスリン酸化酵素活性を人為的に制御するために、側芽分裂細胞で特異的に発現するプロモーターの下流にこの遺伝子を結合し、部位特異的な発現により分げつの形態がどのように変化するかを調べることにした。そのための遺伝子のクローニング等を行った。 植物体内の糖代謝は植物バイオマス生産性に大きく関与すると考えられたため、糖代謝に関わるその他の遺伝子発現と分げつとの関連を調べた。糖代謝に関わる重要な酵素であるショ糖合成酵素やこの活性を制御するプロティンキナーゼ遺伝子の発現を抑制した場合には分げつ数には影響が現れず、貯蔵デンプンの生合成が抑制された。この結果から、ショ糖合成酵素の活性は植物のシンク機能に大きく関わるが、分げつには影響を与えないことがわかった。 フラクトース・ビスリン酸化酵素の構造遺伝子を側芽分裂組織で特異的に発現するFON2遺伝子のプロモーターの下流に結合し、これをmoc2変異体に導入し、表現型を調べた。その結果、形質転換体植物では分げつ数の増加が認められた。しかし、野生型に比べると明らかに分げつ数が少なく、この遺伝子導入では変異の表現型を完全に相補することができなかった。この結果からフラクトース・ビスリン酸化酵素は側芽分裂組織で特異的な機能を有しているのではなく、moc2変異体で現れた分げつ数の減少は、フラクトース・ビスリン酸化酵素の不足から生じるものであることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)