2013 Fiscal Year Annual Research Report
有機リン化合物の新たな機能の発掘と触媒的合成法への応用
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24659002
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
濱田 康正 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90117846)
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Keywords | ホスフィド / 配位子 / リン / イオウ / ホスフィン / トシルクロリド / 不均斉化反応 / 酸化還元反応 |
Research Abstract |
我々は高反応性、高選択的不斉合成法の開発研究を展開しているが、本研究ではこれまでの研究成果を基盤として、金属に強固に結合するハロゲンに代わる嵩高いアニオン性リン配位子を開発する。スルホン酸アミドに相当するホスフィド化合物類はこれまで創られたことのない新規化合物群であるので新たな機能が期待できると考えて本研究に着手した。 はじめにフェニルホスフィンとトシルクロライドの塩基存在下の反応を検討した。この反応は複雑な反応となり目的のホスフィド化合物は得られなかった。そこで、ジフェニルホスフィンとトシルクロライドを用いる文献既知の条件を追試して、反応条件を見た。驚いたことに文献記載の条件で得た化合物はホスフィドではなく、ホスフィドが生成した後、さらに分子内で酸化還元反応が進行した生成物トリルチオオキシジフェニルホスフィンオキシドであった。この実験結果をもとにフェニルホスフィンとトシルクロライドの反応を再検討したところ、生成したホスフィドが分子内で酸化還元反応を起こし生成したフェニルホスホン酸チオエステル誘導体が得られていることが判明した。この新規化合物はX線解析によって構造を確認にしている。この反応はホスフィドのS-P結合が二重結合S=Pを介して不均斉化するこれまで知られていない全く新規の反応である。まだ収率に問題があるが、イオウとリンの化学に新知見を与える結果と評価している。しかし、本研究では嵩高いアニオン性リン配悦子を目指しているので、酸化還元が起こらない系でさらに検討を行った。アシル化剤としてカルボン酸誘導体を用い、ホスフィンをボラン錯体として反応すると目的のホスフィドが得られることが判明した。また、収率の問題、生成物からボランを除く問題が解決できていない。この点を検討している。
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