2012 Fiscal Year Research-status Report
新規MALDI-MSマトリックスの分子設計、合成、分子論
Project/Area Number |
24659007
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新藤 充 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (40226345)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 質量分析 / MALDI / マトリックス / 有機合成 |
Research Abstract |
MALDI-MSは近年、生体高分子のみならず低分子化合物の超高感度迅速分析にも適用が検討され、その特性を生かしたメタボローム研究や分子イメージングへの応用が期待されている。しかし、イオン化の要となるマトリックスに関する研究は意外にも未開拓で、その分子論は未知である。特に生体低分子解析に重要な負イオンモード分析に適応した高機能高感度マトリックスの開発は急務である。本研究では、合理的かつ系統的な分子設計と有機合成による新規高機能有機マトリックスの開発を目指し、現時点で最も汎用されている9-アミノアクリジン(9AA)を評価基準として、その誘導体合成から研究を開始した。まずは9AAのアミノ基にアルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基等の置換基を導入し2級、3級アミノ基へと変換した化合物を20種類以上合成した。それらをマトリックスとして200種類の生体代謝小分子に対してMALDIMS測定を負イオンモードで行いそれらのイオン化能を評価した。その結果、アミノ基が3級の場合ほとんどイオン化能を示さなかったが、2級アルキル、2級アリール基ではイオン化能を示した。一方、2級でもカルバメートとするとまったくイオン化能を示さなかった。以上から、1級、2級アミノ基が必須であることが分かった。また、この結果はN-H基の存在が必須であることとなり、レーザーによる励起に際して当該結合がヘテロリティックに開裂しNの負イオンとなり対象サンプルのプロトンを引き抜く機構が示唆された。 またアクリジン骨格をアントラセンやキノリンに変換した化合物も数種類合成したところ、N上の置換基を変換することで良好なイオン化能を示すことがわかり、アクリジンは必須でないことが分かった。さらにアントラセンおよびその部分還元体にアミノ基を結合させた化合物も合成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規マトリックスの合成に関してはおおむね順調に進んでいる。イオン化能の評価に関しては、アミノ酸関連分子に的を絞ることで評価が進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
新規マトリックスの合成を進めるとともに、UVスペクトルとイオン化能との相関も精査する。マトリックスは各種芳香族化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、アニリン誘導体、キノリン誘導体など)にアミンを搭載した化合物を主に合成する。評価対象はアミノ酸を主に用いる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費(試薬、ガラス器具、汎用器具、汎用消耗品など)111万円 旅費(研究打ち合わせ、学会発表など)15万円 その他(器具修理、英文校正など)5万円 計131万円 マトリックスの物性測定に関して装置の不具合などで若干よていより遅れたため、H24年度未使用額が発生した。次年度には完了する予定である。
|
Research Products
(19 results)
-
-
-
-
[Journal Article] Key Structural Features of cis-Cinnamic Acid as an Allelochemical2012
Author(s)
Masato Abe, Keisuke Nishikawa, Hiroshi Fukuda, Kazunari Nakanishi, Yuta Tazawa, Tomoya Taniguchi, So-young Park, Syuntaro Hiradate, Yoshiharu Fujii, Katsuhiro Okuda, Mitsuru Shindo
-
Journal Title
Phytochemistry
Volume: 84
Pages: 56-67
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-