2012 Fiscal Year Research-status Report
リン酸化・脱リン酸化によってリングが移動するロタキサン型超分子の創製
Project/Area Number |
24659011
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
青木 伸 東京理科大学, 薬学部, 教授 (00222472)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | リン酸化 / 脱リン酸化 / ロタキサン / 超分子 / 酵素反応 / 分子機械 |
Research Abstract |
平成24年度は、最初に設計したロタキサン型超分子の合成を行った。この化合物の設計においては、外部刺激による構造変換、即ちCyDリングの移動を特定するための分子設計と観測方法が非常に重要である。そのために、本研究ではジナフチルアミン構造をロタキサンのStopper兼Station 1 (S1)として採用し、軸部はポリエーテルを含む直鎖構造とし、二つ目のStation (S2)部には12員環テトラアミンのZn2+錯体を用いた。 まず、ジナフチルアミン構造をchloroacetyl chlorideと反応させてアミドとし、ポリオキシエチレン軸部とのカップリング反応(1,3-dipolar[3+2]cycloaddition反応)を行って、対応する軸単独の化合物を得た。この反応をCyD存在下で行って、ロタキサン合成を試みたが、得られたのは軸部だけであり、残念ながら目的化合物を得ることができなかった。カップリング反応の条件下で、軸部がCyDに充分包接されていない可能性が示唆された。平成25年度は、上記のカップリング反応を用いずに、アミド結合を使ったロタキサンの合成も同時に検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ストッパー部とポリオキシエチレン軸部とのカップリング反応(1,3-dipolar[3+2]cycloaddition反応)が困難であることは、ある程度予想できたことであった。上記したように、この反応をCyD存在下で行って、ロタキサン合成を試みたが、得られたのは軸部だけであり、目的とするロタキサン化合物を得ることができなかったのは、ポリオキシエチレン軸部がCyDに充分包接されていないことが考えられる。この反応については、ストッパー部を変更しても、やはりロタキサン構造を得ることができなかった。そこで平成25年度は、上記のカップリング反応を用いずに、アミド結合を使ったロタキサンの合成を検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記したように、平成25年度はアミド結合を使ってロタキサンの合成を検討する予定である。具体的には、すでに報告されているazobenezene dicarboxylic acidを軸部の中央部とし、長鎖アルキルを有するジアミンの一方の端にstopperを兼ねるcyclenを導入し、残った片方のアミノ基とazobenzene dicarboxylic acidとのアミド結合を生成する。この反応をCyD存在下で行うことで、CyDをリングとして有するロタキサン化合物を合成する予定である。実際に、azobenzene dicarboxylic acidと単なるアニリン誘導体との縮合反応を、CyD存在下で行ったところ、目的とするロタキサンの単離に成功した。従って、この反応条件を、目的化合物の合成反応条件に適応し、できるだけ早く目的物を単離したい。 また、ロタキサン構造が合成できたら、CyDリング部のリン酸化酵素反応を行い、リング部の移動をUV/Vis吸収スぺクトルによって観測したい。また、脱リン酸化による構造復帰、それから、これらの構造変化の物理化学的手法による証明を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品(合成用試薬、溶媒、ガラス器具など):550,000円 旅費(研究成果発表用旅費(国内・国外)):200,000円 その他(論文英文添削など):50,000円 合計:800,000円
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Research Products
(15 results)