2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659013
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安齋 順一 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40159520)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 勝彦 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80400266)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | バイオセンサー |
Research Abstract |
金電極の表面を金ナノ粒子溶液とポリアリルアミン水溶液に交互に浸漬することにより、電極表面に金ナノ粒子を固定化した。水晶振動子ミクロバランスによる評価から、固定化される金ナノ粒子の量は電極を溶液に浸漬する回数に比例して増大することが明らかになった。これは、電極表面でポリアリルアミンのアミノ基と金ナノ粒子が化学結合して累積膜を形成していることを示している。したがって、電極表面への金ナノ粒子の固定化量を任意に制御することが可能であることが示された。次に、金ナノ粒子固定化電極を用いて過酸化水素の検出を検討した。電極を過酸化水素水溶液に浸して、三電極法により電極電位を0.6Vに設定した際の酸化電流を測定した。その結果、この電極は1-10mM程度の過酸化水素に対して電流応答を示すことがわかった。電極表面に金ナノ粒子を固定化した電極は未修飾電極に比べて電流応答が増大したが、増大量はわずかであり予期したほどの増大を示さなかった。今後さらに改善が必要である。 次に、過酸化水素に対する応答を改善するためにグラフェン修飾電極の作製と性能評価も実施した。酸化グラフェン分散液に電極を浸漬して電位を掃引することにより電極表面へ還元型グラフェンを析出させて電極を修飾した。電位掃引を数回行うと適量のグラフェンが析出して良好な修飾電極が作製できることが判明した。この電極を用いて過酸化水素への応答を検討したところ、0.6Vでの酸化電流が未修飾電極に比べて数十倍に増大することがわかった。また、0Vていどにおける還元電流も著しい増大が観察された。このように、グラフェン修飾電極が良好な性能を示すことが明らかになったので、今後バイオセンサー材料として検討を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した金ナノ粒子を用いる方法は予期した性能よりやや低調であるが、グラフェンの利用により期待する性能を実現する見通しが得られたので、おおむね順調であると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
過酸化水素に対する高い応答を示す電極を作製するために当初の予定では、電極表面に金ナノ粒子を大量に固定化する予定であったが予期したほどの性能を得ることがむずかしいので、今後は主にグラフェン修飾電極を利用することとする。今後は、グラフェン修飾電極にゲル層を形成したのちに酵素による修飾を施す。作製した電極の乳酸に対する応答を検討して呼気ガス測定用バイオセンサーを実現する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額にあわせ、電極へのゲル層の形成と酵素の固定化を検討するために必要な大量の酵素の購入、また、試作する電極数が多くなることに伴い必要な実験補助への謝金、などの平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)