2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24659014
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉冨 徹 筑波大学, 数理物質系, 研究員 (20585799)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 酸化ストレス障害 / ドラックデリバリーシステム / 高分子ミセル / 抗酸化剤 / ニトロキシドラジカル / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
近年、分子標的薬やタンパク製剤、ナノ粒子製剤などが次々上市され、創薬産業にパラダイムシフトが起こりつつあるものの、簡便で安全な経口投与に関する新しい方法や材料などは近年殆ど見当たらない。本研究では、高分子素材を用いて、経口投与後血中を長期滞留し、慢性疾患などにも治療効果を示すナノメディシンを開発した。我々が開発した親水鎖ポリエチレングリコールとニトロキシドラジカル(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルTEMPO)が結合した疎水鎖から成る両親媒性ブロック共重合体は、透析法により自己集積しコアシェル型のナノ粒子(レドックスナノ粒子:RNP)を形成する。RNP内に封入されているTEMPOは抗酸化剤として機能するだけでなく、電子スピン共鳴(ESR)のプローブとしても機能する。そこで、RNPを経口投与後、血中でのESRのシグナルを確認したところ、粒子の状態ではなく、一本一本のポリマーに崩壊して、取り込まれていることが明らかとなった。これは、胃の酸性条件下で崩壊したRNPが、一本一本のブロック共重合体となり、腸から吸収したものと考えられる。またHPLCを用いて、血中タンパク質との相互作用を確認したところ、大変興味深いことに、アルブミンと相互作用しながら、血中を長期滞留していることが明らかとなった。そこで、酸化ストレスが関連する難病疾患アルツハイマー病をターゲット疾患として、老化促進モデルマウス(SAMP8)を利用し、RM経口継続投与による血液学的血液生化学的検査値の加齢変化を検討するとともに、Morris水迷路行動学習テストにより認識能評価したところ、このRNPを4週間経口投与した群において、脳内の酸化ストレス抑制、神経数増加がみられ、Morris水迷路試験などでも、健常なマウスと同等のレベルまで治癒していたことが確認された。これらのことから、経口投与可能なRNPは、慢性疾患などに有用なナノメディシンとして期待される,
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Research Products
(61 results)