2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659015
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
輿石 一郎 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (20170235)
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Keywords | 糖鎖 / 位置情報 / Proximity Ligation Assay |
Research Abstract |
本課題研究の最終目標は、細胞膜上における脂質ラフトの形成を数量的解析することである。脂質ラフトは細胞膜上にコレステロールが高密度に局在し、膜の硬さが増すことで流動性が損なわれる構造体である。特に、脂質ラフトには糖脂質であるGM1が集積することが知られており、GM1の集積を脂質ラフト形成のマーカーに利用している。すなわち、細胞膜を固相と考えると、固相表面における目的物質の集積を数値化することが望まれる。平成24年度には、結合組織に固定されているヒアルロン酸を測定対象として測定条件の検討を実施してきた。軟骨組織切片上におけるヒアルロン酸の局在を平成25年度は、脂質ラフトを数値化するための基準となる標準モデルの作成について検討した。原理的には、ラテックスビーズに糖脂質であるGM1を固相化し、ラテックスビーズの表面積とGM1結合量とから集積密度を割り出し、脂質ラフトにおけるGM1集積のモデルとしての可能性について検討した。さらに、ヒト消化管粘膜由来上皮細胞であるCaco-2細胞におけるGM1集積についてProximity Ligation Assayを実施し、GM1固相化ラテックスビーズを基準として数値化を実施し、期待していた結果を得ている。 また、従来より報告されているイムノPCR法についてシステムを構築し、イムノPCR法に対するProximity Ligation Assay法の優位性について評価を行った。これにより、超高感度化だけではなく、目的分子の集積に関する位置情報を収得する新たな手法を提示することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一つの生理現象を数値化し、比較検討するためには、基準となる標準モデルが欠かせない。これまでの研究で、固相表面でのGM1の集積密度と集積量に対するProximity Ligation Assayで得られる数値との間の相関を確立することができた。これにより、単なる数値化から、定量的評価への可能性に道が開けた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の永続的な研究を目的に、市販されているProximity Ligation Assayキットを用いることなく、すべての試薬をオリジナルに設計・合成し、今後の研究がキットの市販状況に左右されることなく実施し得るようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に、培養細胞における脂質ラフト形成の評価を、”相対的評価法”により行う予定であったが、細胞の培養条件等による変動要因が極めて大きかったため、、計画を変更して”絶対的評価法”による評価を実施することとしたため、未使用額が生じた。 平成25年度の未使用額122,597円を平成26年度に繰り越し、シンポジウムでの発表ならびに論文投稿のための費用に充てる。
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Research Products
(4 results)