2012 Fiscal Year Research-status Report
ナノDDS製剤/タンパク質製剤の動態を制御し開発を支援する画期的新技術の構築
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24659021
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
奥 直人 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10167322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 知浩 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (00381731)
清水 広介 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (30423841)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 長期血中滞留性 / 薬物送達システム / リポソーム / ファージディスプレイペプチドライブラリー / バイオパニング |
Research Abstract |
ナノDDS製剤/組換えタンパク質製剤等の開発において、血中からの速いクリアランスがしばしば問題となる。現状ではポリエチレングリコール(PEG)修飾が多用されており、これに代わる良い手法がない。本研究は、長期血中滞留性をファージに付与できる低分子ペプチドをファージディスプレイペプチドライブラリーから選別し、これら高分子製剤の長期血中滞留性を簡便に付与する方法論を確立するという挑戦的研究として位置付けている。 まず、5残基のランダムなアミノ酸配列からなる直鎖状ペプチドを提示するファージライブラリーをマウスに尾静脈内投与した。マウスの血液中を24時間循環させた後、残存ファージを含む血液を回収することによりバイオパニングを行った。バイオパニングを5ラウンド行ったところ、最終ラウンドのファージの回収率が第1 ラウンドに比べ、232 倍に上昇した。この結果から長期血中滞留性を有するファージの回収に成功したことが示唆された。この濃縮ファージをクローン化し、得られた30 個のファージクローンに発現しているアミノ酸配列をDNA 解析により決定した。その結果、高頻度に発現が認められる異なる6 種類の候補ペプチドが得られた。クローン化した各ファージの血中滞留性についてin vivoバイオパニングと同様の方法で評価した結果、最終的に長期血中滞留性を示す3種類のペプチドの同定に成功した。次に、長期血中滞留性ペプチドのリポソームDDSへの応用を図るため、3 種類のペプチドについてそれぞれ脂質誘導体を合成した。そして、各ペプチド修飾リポソームを調製し、マウスにおける体内動態を検討した。その結果、有望なペプチド修飾リポソームでは、脾臓における捕獲の回避と血中滞留性の上昇傾向が観察された。 以上の結果より、ファージライブラリーから選別した5 残基のペプチドは、血中滞留性の向上に寄与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、PEGに代わる新たな機能性分子として短鎖のペプチドに着目し、バイオ医薬品やDDS医薬品の開発に有用な長期血中滞留性ペプチドの探索を行った。方法としては、ファージディスプレイペプチドライブラリー法を用いたin vivoバイオパニングを用いた。5残基のランダムなアミノ酸配列からなる直鎖状ペプチドを提示するファージライブラリーをマウスに尾静脈内投与し、24時間後に血液中に残存ファージを回収するという方法論を用いた。これは以前、ファージディスプレイペプチドライブラリー法により新生血管に集積するペプチドを探索したところ、ペプチド修飾リポソームに、長期血中滞留性が見出されたことに端を発している。バイオパニングを5ラウンド行ったところ、最終ラウンドのファージの回収率は232 倍に上昇した。また濃縮ファージをクローン化し、DNA 配列解析によりアミノ酸配列を決定した。さらにクローン化した各ファージの血中滞留性についてin vivoバイオパニングと同様の方法で評価した結果、最終的に長期血中滞留性を示す3種類のペプチドの同定に成功した。この種類のペプチドを発現しているファージクローンは、それぞれコントロールのランダムペプチド発現ファージに比べ、明らかな長期血中滞留性を示すことを確認した。 次に、長期血中滞留性ペプチドのリポソームDDSへの応用を図るため、3 種類のペプチドについてそれぞれ脂質誘導体を合成した。そして、各ペプチド修飾リポソームを調製し、マウスにおける体内動態を検討した。その結果、有望なペプチド修飾リポソームでは、脾臓における捕獲の回避と血中滞留性の上昇傾向が観察された。これらのことから、研究はほぼ順調に進んでいる。しかしながらコントロールとして用いたPEG修飾リポソームに比べ、血中滞留性は劣っていたため、更なる改良が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
ファージディスプレイペプチドライブラリーを用いたin vivo biopanningにより細網内皮系(RES)回避能を有する長期血中滞留性ペプチド発現ファージを選別した。これまでこの方法で、十分に血中滞留性のよいファージクローンを得ることに成功したため、当初予定していた、ヒト由来マクロファージを用いたin vitro biopanningによる絞り込みは行わずにクローニングに研究を進めた。クローニングしたファージの動態等の解析に基づき、候補となるペプチドでリポソームを修飾し、その体内動態をした結果、血中滞留性の向上は見られたものの、コントロールとして用いたPEG修飾リポソームには及ばなかった。本手法により十分に血中滞留性のよいファージクローンを得ることには成功していることから、コンセプトは正しいと考え、同様な方法でのバイオパニングとヒトマクロファージ由来細胞を用いたインビトロバイオパニングを組み合わせて、再度ペプチドの探索を行う。 一方で、得られたファージクローンは長期血中滞留性を示すにもかかわらず、このペプチドをリポソームに修飾した場合には長期血中滞留性が低下する理由として、候補となったペプチドの溶解性が低く、脂質への修飾に難点があることがあげられる。長期血中滞留性ペプチドのコンセプト自体は稼働すると考えられたことから、今後はリポソームのペプチド修飾法などについても詳細に検討する。 これらを通して、バイオ医薬品やDDS医薬品の開発に有用な長期血中滞留性ペプチドの探索を成功させる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【長期血中滞留性ペプチド修飾リポソームの改良】本研究では、固定水相の形成により長期血中滞留性を付与するPEGに代わる、生体におけるタンパク質等の血中滞留性を決定する因子を模倣した。低分子ペプチドにより長期血中滞留性が付与できるというProof of Conceptを提出することが、本研究の第一の目的であるが、ファージレベルでは成功しているものの、ペプチド修飾リポソームとしては、ファージレベルで得られるほどの強い活性が見られなかった。そこで、修飾法などを詳細に検討し、原因の解明と長期血中滞留性リポソームの調製を再度試みる。 【長期血中滞留性ペプチド発現ファージの再検索】一方で、再度同様なインビボバイオパニングと、種差を超えて応用できるように、ヒトマクロファージ由来細胞を用いたインビトロバイオパニングを行い、あらたなファージの探索と選別、クローニングを同時並行で行なう。 【長期血中滞留性ペプチドの応用】これらが成功したら、長期血中滞留性リポソームを用いたパッシブターゲティングがん治療や、新たな修飾分子を用いたアクティブターゲティングを試みる。一方で、当初の計画通り、タンパク質医薬へのペプチドの応用についても検討を加える。すなわち組換えタンパク質の末端に長期血中滞留性ペプチドを融合したタンパク質を遺伝子工学的に作成する。具体的には、ペプチド融合タンパク質をコードした発現プラスミドを構築し、細胞系で発現したタンパク質を精製する。このタンパク質を用いて体内動態を評価する。タンパク質のラべリングにはポジトロン標識体の構築を考えているが、ハードルが高い場合には[I-131]標識体を用いた検討とする。タンパク質は、異物認識を受けるが腎排泄されない45kDaのオブアルブミンを用いることで検討できると考えている。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Systemic delivery of small interfering RNA by use of targeted polycation liposomes for cancer therapy.2013
Author(s)
Kenjo E, Asai T, Yonenaga N, Ando H, Ishii T, Hatanaka K, Shimizu K, Urita Y, Dewa T, Nango M, Tsukada H, Oku N.
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Journal Title
Biol Pharm Bull.
Volume: 36
Pages: 287-291
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