2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 淳賢 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20250219)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | GPCR / 生体膜 / 脂肪酸組成 / TGF |
Research Abstract |
生体膜の主成分であるリン脂質は脂肪酸組成の異なる多数の分子種から構成される。近年、リン脂質の脂肪酸の代謝回転に関与する酵素が同定され、リン脂質脂肪酸分子種の多様性を作り出す機構の一端が解明されてきている。しかしながら、リン脂質分子種の多様性の意義はほとんど解明されていない。本研究において、膜タンパク質の機能、特にGタンパク質共役型受容体(GPCR)に着目して生体膜のリン脂質の脂肪酸分子種の意義の解明を試みることとした。平成24年度は、リン脂質の分析系の構築、脂肪酸組成を変動させた培養細胞の作製、GPCRの活性化検出系の構築を行った。始めに、液体クロマトグラフィー質量分析計(LC-MS/MS)を用いた順相カラム分離によるリン脂質分析系を確立した。本手法は、特に酸性リン脂質の測定において既存の手法より優れていた。次に、不飽和脂肪酸(リノール酸やアラキドン酸、ドコサヘキサエン酸)をHEK293細胞の培養上清へ添加により、これら脂肪酸が取り込まれることを確認した。HEK293細胞に不飽和脂肪酸を取り込ませることで、生体組織のリン脂質組成と比較的類似した状態を作ることができた。興味深いことに、両アシル基とも不飽和脂肪酸に置換されたリン脂質が顕著に増加することがわかった。同様に、パルミチン酸やステアリン酸も培養上清へ添加することで、リン脂質に取り込まれることを確認した。不飽和脂肪酸とは異なり、両アシル基とも飽和脂肪酸置換されたリン脂質はわずかにしか増加しなかった。最後に、GPCRの活性化を高精度に検出する手法として、トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGFα)のエクトドメイン切断を指標とした新規アッセイ系(TGFα切断アッセイ)を導入した。TGFα切断アッセイを用いると、約9割ものGPCRに関してその活性化を検出することが可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
あたらなGPCR測定系を構築し、その評価系を用い、生体膜脂質組成の意義を明らかにしつつある
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Strategy for Future Research Activity |
GPCRの機能が細胞膜組成に大きく影響を受ける可能性を示すことができた。より一般かが出来るかが今後の課題に一つである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、確立した研究ツールを利用して、細胞膜状態により影響を受けるGPCRを同定するとともに、TANGOシステム(Invitrogen)を用いた活性化イメージング法の構築を目指す。
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Research Products
(4 results)