2012 Fiscal Year Research-status Report
新規ヒスチジン型プロテインホスファターゼの探索と基質特異性についての構造学的解析
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24659027
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
武田 弘資 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10313230)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / ストレス応答 / プロテインホスファターゼ |
Research Abstract |
平成24年度においては、ヒスチジン型プロテインホスファターゼのプロトタイプであるPGAM5の構造解析を中心に研究を進めた。まず、PGAMドメインおよびC末端領域(90-289AA)については構造が明らかとなり、二量体として存在し、2つのヒスチジン残基と2つのアルギニン残基から酵素活性中心が形成されることが分かった。2量体形成に関しては、C末端どうしで相互作用していることが示唆されたため、C末端の欠失変異体を作製して共免疫沈降実験を行ったところ、C末端の7アミノ酸がPGAM5どうしの二量体形成に必要であることが明らかとなった。さらに、二量体化できないC末端7アミノ酸の欠失変異体はホスファターゼ活性を失っていることが分かり、二量体化がPGAM5の活性保持に必須であることが明らかとなった。一方、構造解析に用いた90-289AAのリコンビナントタンパク質のin vitroにおけるホスファターゼ活性を検討したところ、ほとんど活性を保持していないことが確認された。そこで、PGAMドメインよりN末端側の配列を保持したいくつかの欠失タンパク質のホスファターゼ活性を測定したところ、54-289AAでは活性を保持していることから、PGAMドメインよりN末端側も活性の保持に必要であることが分かった。その領域には種を越えて保存されたモチーフ(WDxNWDxR)が存在しており、このモチーフが活性制御に重要な役割を担っていることが示唆される。現在、54-289AAの構造解析を進めているが、うまく結晶が得られておらず、基質ペプチドとの共結晶化が必要と考えられる。そのため、PGAM5の基質分子を得るべく、結合分子探索も並行して進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規ヒスチジン型プロテインホスファターゼについてはまだ同定には至っておらず、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
活性を有するPGAM5の構造解析を進めるためにも、PGAM5の脱リン酸化基質の同定が急務である。また、新規ヒスチジン型プロテインホスファターゼの探索も引き続き精力的に行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究においては、新規ヒスチジン型プロテインホスファターゼの探索が遅れたことにより、予想より支出が抑えられた。次年度においては、計画通りに研究を遂行するためには、前年度分残額と今年度の予定額を合わせた研究費が必要となる。
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