2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24659032
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
立花 雅史 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80513449)
|
Keywords | 免疫寛容・抑制 / 肝臓 / T細胞 |
Research Abstract |
肝臓特異的な細胞群の一種である類洞内皮細胞(Liver sinusoidal endothelial cells : LSEC)はT細胞増殖を強力に抑制することが知られているが、その分子メカニズムの全容は明らかにされていない。そこで、「肝臓における免疫寛容の成立」と「正常な肝臓組織の機能維持」の分子メカニズムの解明を目指し、LSECについて免疫学的視点から検討を行った。 さて近年、炎症性サイトカインの一つであるIL-17が、様々な疾患において重要な機能を担っていることが明らかにされてきている。しかし一方で、最近になって抑制性サイトカインとしての機能も発揮することが報告されてきたことから、様々な生体内環境におけるIL-17の生理的機能について精査する必要が生じてきている。 そのような背景の下、本研究によってIL-17受容体がLSECに発現していることを見出した。そこで、IL-17がLSECに及ぼす影響を明らかにするため、初代培養LSECにIL-17を添加し、各種遺伝子発現に与える影響について検討を行った。その結果、IL-17によってLSECにおけるTGF-βの発現上昇が認められた。TGF-βはT細胞増殖を抑制する機能を有していることから、LSECによるT細胞増殖抑制にはIL-17の作用が必要である可能性が考えられる。一方で、TGF-βやIL-17は肝線維化を促進することが知られており、肝線維化過程にはLSECを介した、IL-17によるTGF-β発現誘導が重要である可能性が示唆された。以上のことから、IL-17産生を伴うような炎症病態下では、T細胞増殖抑制による炎症の鎮静化と肝線維化が同時に起こる可能性が示唆された。今後は、この詳細な分子メカニズムならびに生理的意義を明らかにしていきたい。
|
Research Products
(1 results)