2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規マイクロRNA分子mirtronから明らかにする哺乳類の神経構築制御機構
Project/Area Number |
24659033
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水口 裕之 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (50311387)
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Keywords | microRNA / 交感神経 / セロトニン / ストレス |
Research Abstract |
前年度は、セロトニン神経発生の運命決定およびアドレナリン/ノルアドレナリン作動性神経の分化と機能制御に関わる遺伝子Xについて、mir-877がこれの発現を標的として神経機能を調節することを示唆する知見が、個体レベルの検討で得られた。本年度は、さらに、新たな角度からmir-877の神経機能に関わる役割を評価するために、脳内のストレス中枢制御に関わる別の標的遺伝子Yについて、解析を行った。その結果、mir-877欠損により、ストレス中枢である視床下部、偏桃核におけるYの発現が、ノックアウト個体で上昇していることを蛋白レベルで観察した。Yがストレス経路に対し促進的に働く機能を持つことから、ノックアウトではストレス経路が活性化することが予想され、血中糖質コルチコイド濃度を測定したところ、野生型マウスに比べて有意に上昇していた。さらに、mir-877の発現自身が、個体がストレスに暴露された時に低下することを、脳内各組織のnorthern blot解析により明らかとした。従って、本年度の研究によりmir-877のストレス応答性マイクロRNAとしての新たな側面を明らかとし、その機構として、ストレス中枢におけるYの発現を制御することにより個体のストレス反応を制御することが推察された。本研究を通じて、mir-877の持つ多様な脳機能制御が新たに判明し、セロトニン神経や神経内分泌機能といった、ストレスに強く関わる脳内制御機構に、mir-877が深く関わることが明らかとなった。
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